研究課題/領域番号 |
15K05830
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
春木 直人 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (10311797)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 流動抵抗低減効果 / 界面活性剤 / PIV / 粗面 |
研究実績の概要 |
エネルギーの有効利用の観点からみると,熱輸送媒体(水,各種ブライン等)を用いた熱エネルギー輸送システムは,「輸送のためのエネルギーが余分に必要」という根本的な問題を抱えているため,熱輸送媒体への流動抵抗低減剤の添加による流動抵抗低減効果を用いた輸送エネルギーの削減が検討されているが,流動抵抗低減と同時に配管内壁との熱伝達が減少する欠点を有している.本研究は,熱交換器の伝熱面にμ・nmサイズの粗面加工を施すことによって,流動抵抗低減効果時の熱交換器の熱伝達特性を向上させるとともに,粗面化による流動抵抗の増加をできるだけ抑制するという2つを目的として,平成28年度では,伝熱面がμ・nmサイズの粗面加工された熱交換器を想定し,まず一定の凹凸面を持つ粗面伝熱面を有する矩形試験部を作成した.引き続き,作成した矩形試験部に界面活性剤水溶液を流動させた場合の流動と熱伝達特性を測定すると共に,本研究費で購入したPIV2D流体解析システムを用いた配管内速度分布測定装置による流動状態の把握を行った.その結果,伝熱面が粗面を有することによって,流動抵抗低減効果を有する界面活性剤水溶液の矩形試験部における流動抵抗と熱伝達特性に対して,流動抵抗と熱伝達率の増加という影響があることが確認された. さらに平成28年度では,熱輸送媒体が0℃以下の低温状態で流動する場合の界面活性剤の選定や,実際の流動抵抗と熱伝達特性についても測定を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
熱輸送媒体への流動抵抗低減剤の添加による流動抵抗低減効果を用いた輸送エネルギーの削減技術では,流動抵抗低減と同時に配管内壁との熱伝達が減少する欠点を有している.このため本研究の目的である「流動抵抗低減効果による熱交換性能低下を防ぐ微細粗面伝熱面の開発」を行うためには,十分な精度での流動抵抗と熱伝達率の測定と,粗面化に伴う管内流動状態の把握を行う必要がある. この当初の研究計画において,平成28年度は粗面化した新たな実験装置の作成が完了するとともに,実際の流動抵抗と熱伝達特性,管内の流動状態について実際の測定を行うことができた.また,低温状態での実験と界面活性剤の選定についても一定の成果を得ることができたため,現在までの達成度としては,おおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度に作成した伝熱面の粗面化について,また条件的には1つの粗面でしか測定ができていないため,複数の粗面粗さを有する粗面試験部を作成し,粗面粗さをパラメータとした測定を行う予定である.さらに,粗面粗さと界面活性剤のミセル構造,試験部管径等を含めた最終的な取りまとめを行う予定である
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は,当初の予定では異なる粗面粗さを有する複数の粗面試験部を作成する予定であり,そのための消耗品費を計上していたが,実際には1つの粗面試験部しか作成できなかった.そのため,余った消耗品費を次年度に繰り越したために次年度使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
基本的には,新たな試験部作成のための消耗品費として使用する予定である.また,前年度までに使用した実験装置において,老朽化したものについては,この次年度使用額を含めた予算にて更新を行う予定である.
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