研究実績の概要 |
熱機関における着火・点火は,ナノ秒で生成される火花放電などの非平衡プラズマによりプラズマ電子温度が上昇し,周囲への熱移動によりガス温度が上昇し,化学反応が開始する.このような火花放電におけるプラズマから周囲ガスへの熱移動現象をナノ秒・ナノメートルオーダで計測し,モデル化することを目的としている.本研究では,圧縮膨張機関を使用し,ピストン圧縮行程後半におけるガス混合気に火花放電を行い,プラズマ形成から着火に至る過程をプラズマ電子温度/ガス回転温度により調査した.まず,プラズマ電子温度計測のため,点火プラグに光ファイバを組み込んだ.光ファイバには,広範囲からの発光得られるように広いNA角の石英製ファイバを使用した.光ファイバで得られた火花放電~初期火炎核形成過程で得られた自発光を時系列分光分析した.火花放電から得られるCN自発光よりプラズマ振動温度を,初期火炎核から得られるOHラジカル自発光よりガス回転温度を算出した.プラズマ振動温度が6,000K程度であり,文献値と良い傾向を示した.分光計測から得られたガス回転温度は2,300K程度であり,断熱火炎温度とほぼ同じであった.さらにワークステーションで数値解析を行い,プラズマ形成から着火に至る過程をモデル化した.火花放電をプラズマ点が線状に連なった集合体としてモデル化した.個々のプラズマ点では,プラズマ形成から着火に至る過程をモデル化した.実際に火花放電から混合ガスへの着火を表現することができた.
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