燃料液滴間の干渉効果の解明により単一液滴の自着火の知見を噴霧の自着火に拡張する研究である.炭化水素の自着火では部分的な酸化である冷炎が発生して後に熱炎が発生する二段点火が起こる.発光しない冷炎の観測には干渉計が有効である.微小重力下で二液滴の自着火を干渉計二基を用いて三次元的に観測した.二液滴の外側の高温部で冷炎が発生し,内側の高燃料濃度部で熱炎が発生する傾向を確認した.初期径の異なる二液滴について,点火下限温度より十分高い温度では小さい液滴の存在は全体の熱発生を早めるが,点火限界近傍など条件によっては遅らせることを発見した.これらが局所的な物質輸送と化学反応のバランスにより理論化された.
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