研究課題/領域番号 |
15K05836
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
中川 慎二 富山県立大学, 工学部, 教授 (30337878)
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研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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キーワード | 電子機器冷却 / 数値シミュレーション / 対流伝熱 |
研究実績の概要 |
3次元積層システムに適した液冷システムの最適化手法を確立するためには,数値シミュレーション技術の活用が不可欠である。微細な複雑流路での熱流動解析を実施するためには,形状の詳細な再現および微細構造部を解像可能な高分解能メッシュを使用することが必要である。これに対応するため,低コストでスーパーコンピュータの活用が可能となるオープンソースソフトウェアOpenFOAMを応用している。東京大学の新型スーパーコンピュータReedbushにおいて,本研究のシミュレーションを実施可能とした。 数値シミュレーションの精度を検証するため,ポンプ,冷却液温度制御システム,テストセクション,微差圧力計などから構成される実験システムを構築した。テストセクションは,薄型ヒートシンク,ヒーター,極薄熱電対,断熱材で構成され,薄型ヒートシンク内部に冷却液の流路を設けた。ヒートシンクの両面からヒーターによる加熱を可能としている。流路での圧力損失の評価も可能である。異なる流量において加熱実験を実施し,内部流路構造に依存するヒートシンクの温度分布を明らかにした。 上記ヒートシンク内流路を対象に,温度場および流れの数値シミュレーションを実施した。流路は複数の曲がり部を有しており,それに起因する主流に垂直な断面内での旋回流れ(2次流れ)が発生する。連続する曲がり部によって生成される複雑な流れの構造を明らかにした。この流れにより変化する温度境界層および壁面温度分布を示した。実験結果と定性的に一致する結果ではあるが,定量性には検討の余地がある。さらに精度を向上させる必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度から開始した数値シミュレーション技術の開発に加え,本年度は実験システムを構築し,両者を組み合わせて研究を進行する体制を構築した。最新の計算機環境を利用する仕組みを随時取り入れており,効率的に研究を進める体制を構築した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の発展性を考慮し,シミュレーションに関わるすべての作業をオープンソースソフトウェアで実施することを予定していた。しかし,この方式では最適化に向けた作業に遅れがでることが予想されるため,一部に商用ソフトウェアを利用することを検討する。主として商用ソフトウェアを利用して結果を求めるとともに,同様の成果をオープンソースソフトウェアで得るための手順についてもまとめ,本研究の成果の一部とすることを目指す。 大学生以外の技術者をメンバーに加え,効率的に研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験装置の一部を高性能品に置き換えるため,次年度予算と合わせて使用する。これにより,研究費を有効に活用することができる。
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次年度使用額の使用計画 |
流量の可変範囲が大きく,安定性の高いポンプと流量計測システムを導入する。
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