研究課題
本研究では,EGR(排気ガス再循環)を用いて燃費を改善しようとするガソリンエンジンに対して,EGRを導入した場合に問題となる燃焼の悪化を抑制することで大量EGRの導入を可能とする燃焼技術の実現を目的に,EGR中に十分な燃焼促進物質を残存させることが可能な燃焼条件を,飛行時間型質量分析計を備えた包括的2次元ガスクロマトグラフ(GC×GC-TOFMS)を用いた分析から明らかにし,エンジン実験で実証することを目指してきた.その結果,heptanedioneなどこれまで注目されていな化合物を含め,様々な含酸素炭化水素の存在が明らかになった.特に,希薄燃焼や負荷の低い条件において,含酸素炭化水素の濃度は増大した.これらの多くは,低温酸化反応メカニズムから生成されたものと考えられ,従来の研究に基づけば,これらは反応抑制物質として作用するものが多いと考えられる.つまり,低温酸化反応からの生成物を低減することで,EGRの反応抑制作用を低減することが可能と考えられる.また,排ガス中には燃料の骨格にニトロ基が付加した化合物が存在することが明らかになった.この知見は従来にない新しいものであり,これらの化合物は反応促進物質として利用できる可能性が高い.しかし,排ガス中のこれらの化合物に関する分析は前例がなく,また生成過程に関する知見も見当たらない.今後は,分析手法を確立するとともに,生成メカニズムや分析手法について詳細な研究が必要と言える.これらの結果は,燃焼反応による反応制御物質の生成手法を構築する上での重要な基礎的知見と言える.当初に予定していたエンジン実験には至らなかったが,今後はこれらの知見を基に,エンジン実験および新たな燃焼制御手法の構築を目指す.
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自動車技術会論文集
巻: Vol.50, No.1 ページ: pp.43-48
https://doi.org/10.11351/jsaeronbun.50.43
巻: Vol.50, No.1 ページ: pp.49-54
https://doi.org/10.11351/jsaeronbun.50.49