平成28年度に開発した2種類の関数形のうち,関数形AをR-1224yd(Z)に適用し,新たな状態方程式を作成した.これらの関数形は熱力学的拘束条件を満たしているため,従来よりも少ない実測値情報により最適化が可能である.R-1224yd(Z)については開発されてからまだ日が浅いため実測値情報に乏しいが,本研究で開発した関数形を用いることにより広範囲で成立する状態方程式の作成が可能であることが証明された.R-1224yd(Z)の式は欧州熱物性会議(9月)にて発表した. 一方,昨年度に関数形Bを適用した開発したR-1336mzz(Z)については,その後に液相音速を良好に再現できていないことが判明した.この冷媒については,関数形Aをさらに発展させた別の関数形(関数形A2)を適用し,液相音速まで不確かさの範囲内で再現できる状態方程式を新たに開発した.この開発にあたっては米国標準技術研究所(NIST)の協力を得て液相音速の精密測定を行い,その測定値に適合させた.この状態方程式は次期の国際標準状態方程式となることがISO/TC86/SC1委員会で決定している. さらに,ISO/TC86/SC1委員会の評価を通してR-1233zd(E)の既存式についても,液相音速を不確かさの範囲内で再現できていないことが判明したため,現在,R1336mzz(Z)と同じ関数形A2を用いた新たな状態方程式の開発を進めている. R-1224yd(Z)およびR-1336mzz(Z)の状態方程式は2018年4月にリリース予定のREFPROP Ver. 10に収録される見通しである.
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