研究課題/領域番号 |
15K05851
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研究機関 | 大阪府立大学工業高等専門学校 |
研究代表者 |
杉浦 公彦 大阪府立大学工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (00249814)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | MCFC / DCFC / 燃料電池 / 溶融塩ガス化 |
研究実績の概要 |
昨年度までに円筒型MCFCの作成方法を確立し,横型評価装置を完成させた.しかし,円筒型MCFCへの電解質充填が不十分であったため,良好な電池特性を得ることはできなかった.そこで平成28年度は,①横型評価装置における円筒型MCFCへの電解質充填法の最適化,②円筒型MCFCの基本特性取得と電池構成及び発電条件の最適化,③高機能DCFC評価装置の設計・製作について検討を行った. ①円筒型MCFCへの電解質充填は,(1)円筒型MCFCアノード極に共晶塩スラリーを塗布する,(2)固形化した共晶塩を円筒型MCFCアノード極に巻き付ける,および(3)評価前に焼成炉にて共晶塩を入れたるつぼに浸したプレ含浸する方法について検討した.(1),(2)については,スタートアップ時の共晶塩溶融温度でアノード極からマトリックス,カソードへ含浸する前に用意した共晶塩の50%程度が電池構成材へ含浸されずに反応容器内へ落ちていた.(3)に関しては,焼成炉中にセットする共晶塩量と実際に含浸できる量との最適化を図る必要があるが,概ね任意の含浸量を設定できることが分かった. ②円筒型MCFCの基本特性取得と電池構成及び発電条件の最適化については,昇温中に円筒型MCFCを固定しているステンレス配管の熱膨張により電極が割れるなどの問題が生じたが,一部の配管をらせん状にすることで,熱膨張による伸びを吸収することで,電極の割れを防止できることが分かった.今後,円筒型MCFCの基本特性を取得して行く予定である. ③高機能DCFC評価装置の設計・製作については,評価装置としてはほぼ完成しており,現在,パック試験を実施し,問題点の抽出と改良を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
電解質の充填方法は概ね確立できたが,横型評価装置を用いた場合の問題が色々と生じたため,充填率の最適化や円筒型MCFCの基本特性取得が遅れている.しかし,概ね問題点が解消しつつあるため,平成29年度にこれらの目標は達成できるメドはついている. また,HF-DCFC用評価装置については,概ね順調に製作ができていることから,本プロジェクトの根幹であるHF-DCFCんぽ基本特性取得については,平成29年度に達成できる見込みである.
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今後の研究の推進方策 |
円筒型MCFCおよびHF-DCFCの評価する下地は出来上がったため,当初計画通りに円筒型MCFCにおける①電解質充填量の最適化,②運転条件の最適化および③HF-DCFCの基本特性取得について行っていく予定である.これらのテーマを推進するために,協力学生3名体制で実施していく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定では,高機能DCFC用評価装置のための電子負荷装置,データーロガーなどを購入する予定であったが,円筒型MCFC塗布装置の破損に伴う修理が必要となったために,これらの購入ができなくなった.また,横型評価装置やHF-DCFC評価装置が,当初予定していた構造では問題が生じることがわかり,それらの対策のための改良費用が必要となった.以上のことから,当初購入計画に挙げていた物品を購入せずに,これらの費用に充てた差額分が次年度へと繰り越すことになった.なお,購入する予定であった備品については,当研究室で保有している現有装置から貸借することで補った.
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次年度使用額の使用計画 |
本年度も昨年度と同様に,装置改良費が発生する可能性があることと,昨年度の成果をアメリカで発表するための費用に使用する予定である.
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