研究課題/領域番号 |
15K05853
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
梶原 秀一 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00280313)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 周期入力制御 / 同期パターン制御 / 振動制御 / エネルギー制御 / van der pol方程式 |
研究実績の概要 |
本研究代表者らは,周期的な運動をする制御対象にタイミングよく周期入力を加えることでエネルギーを制御し,目標とする振幅や位相を持つ周期入力に制御対象を収束させる周期入力制御法を提案してきた.本研究では,これまで1入力系にのみ適用可能であった本手法を多入力多出力系の制御方法として拡張し,多数の質点やバネで構成される振動系の制御法として確立.さらに,本手法を脚に弾性を持つ4足走行ロボットの制御に適用し,バネの弾性エネルギーを効率よく利用した高速走行を実現することを最終目標としている. 本研究ではまず,周期入力制御法と本研究代表者らが提案しているvan der Pol(VDP)方程式の同期パターン制御と組み合わせることにより,これまで1入力にのみ適用可能であった周期入力制御法を多入力多出力化する.これにより,複数の周期入力制御系のエネルギーを制御しながら,それらの同期パターンを自由に制御することが可能となる. 平成27年度は周期入力制御系の同期パターン制御を構築するための基礎とするために,周期入力制御系とほぼ同じ特徴を持ち,解析が比較的容易であるVDP方程式の同期パターン制御法を考案した.本手法により,n個のVDP方程式を相互に結合したn結合VDP方程式の同期パターンを自由に制御できることをシミュレーションにより確認した.次に,周期入力制御法によりエネルギーが制御された振子系を取り上げ,構築した同期パターン制御を周期入力制御系に適用できる条件を解析した.解析の結果,目標エネルギーからの偏差により振幅を変調した周期入力によりエネルギーが制御された振子系はVDP方程式と同じ自励振動系となり,VDP方程式の同期パターン制御がそのまま適用できることを明らかにした.さらに,結合周期入力制御系の同期パターンが制御できることをシミュレーションにより確認し,周期入力制御法の多入力多出力化が実現できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は1.多重結合VDP方程式の同期パターン制御系の構築,2.周期入力制御系の多入力多出力化の実現を予定していた.1.についてはn結合VDP方程式の同期パターン制御系の同期パターン制御法を設計し,シミュレーションによりその有効性を確認した.2.については,1.で考案した手法を結合周期入力制御系の同期パターン制御に適用し,手記入力制御系をさまざまな同期パターンで同期できることをシミュレーションにより確認した.以上ののように,当初予定していた周期入力制法の多入力多出力化までほぼ順調に実現できた.
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今後の研究の推進方策 |
来年度は,多入力多出力化した周期入力制御法を多自由度振動系に応用して,新たな多自由度振動制御法を構築する.多自由度振動系として,電磁力で駆動される振り子型実験装置を多数利用して,さまざまな振動モードの制御を実現する.次に,構築した多自由度振動制御法を4足走行ロボットの制御に適用し,物理シミュレーションによりその有効性を明らかにする.シミュレーションと平行して,4足走行ロボットの実機の設計・製作を始める.
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次年度使用額が生じた理由 |
ロボットの部品を製作するために3Dプリンターの購入を検討していたが,購入を予定していプリンタよりも性能のよいプリンターが発売された.その性能を評価・検討した後,購入を検討していたところ,年度内納入が困難になったので次年度に購入とした.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額にて3Dプリンターおよびその消耗品を購入する.
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