研究課題/領域番号 |
15K05858
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
平元 和彦 新潟大学, 自然科学系, 教授 (00261652)
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研究分担者 |
松岡 太一 明治大学, 理工学部, 准教授 (80360189)
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研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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キーワード | 運動と振動の制御 / 動的設計 |
研究実績の概要 |
運動と振動の制御が行われる機械系は,複数の質点や剛体が,ばねやダンパなどのパッシブ要素や,アクチュエータやMRダンパなどのアクティブまたはセミアクティブ制御要素(以下接続要素と呼ぶ)によって接続されたものと考えることができる.本研究では,制御系に課された性能仕様に対し,それを過不足なく満たすようなパッシブ要素の設計,上記制御デバイス導入の要・不要の決定およびそれらの導入時の制御則設計を系統的に行う方法(以下接続要素最適設計法と呼ぶ)を開発することを目的として研究を行う.接続要素最適設計法として,以下に示すような制御性能の制約下で種々の構造制約を持つコントローラ設計を繰り返す手法を考えた. Step 1 パッシブ要素の調整:制御仕様を満足するような正実な分散型コントローラ設計を行う.正実な分散型コントローラは,パッシブ接続要素の調整に相当する.このようなコントローラで制御仕様が満足されない場合は,Step 2へ行く. Step 2 セミアクティブ接続要素の導入:正実であるが,Step 1で課したコントローラに対する分散型構造に関する制約を解除してコントローラ設計を行う.得られた結果は,適切なセンサネットワークとセミアクティブ制御要素の導入により実現する.ここで得られたコントローラによって制御仕様が満足されない場合は,Step 3へ行く. Step 3 アクティブ制御要素の導入:アクティブ制御要素を導入して,アクティブ制御を行うことローラを設計する. 今年度は,Step 1および2で必要となる正実なコントローラ設計手法とそのセミアクティブ制御での実現について主に研究を行った.セミアクティブ制御系設計において,規範となるアクティブなフィードバックコントローラの正実性を考慮することによって,セミアクティブ制御則が,規範コントローラの制御力を高い割合で再現できることを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度後半での採択であったが,正実なコントローラの設計法およびそのセミアクティブ接続要素での実現について研究を行い,規範となるアクティブ制御に正実なコントローラを用いることによって,その制御入力のセミアクティブ制御デバイスによる再現性を高めることができることを明らかにした.さらに,関連するセミアクティブ制御系設計手法についても成果を得ることができた.
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今後の研究の推進方策 |
研究の目的である過不足のない接続要素の決定法をアルゴリズムとして実現する.現在,上記3段階の設計手順のうち,Step 1, 2についてはその理論的な基礎をほぼ確立したので,今後は,Step 3の設計問題の検討およびそれぞれの設計段階間の接続を行う. さらに,分担者と協力することによってセミアクティブ制御デバイスを開発し,そのデバイスを用いた場合の振動抑制性能を実験的に検証する.
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次年度使用額が生じた理由 |
交付申請時よりもPCワークステーションが安価で導入できたため.また,採択時期が年度の遅い時期であり,旅費支出が行えなかったため.
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次年度使用額の使用計画 |
研究打合せや成果発表の旅費として使用する.
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