パラメトリックスピーカーを用いたアクティブノイズ制御について、計画書に基づき以下のことを行った。 1.パラメトリックスピーカー音源の位相差制御による、スピーカーの指向性制御システムを製作し、その特性を調べた。位相差制御により、20度程度の広がり角制御が可能であることを示した。このことは、前年度行ったKZK方程式による広がり角制御シミュレーションの結果とも一致した。 2.指向性の広がり角制御可能なパラメトリックスピーカーを用いて、アクティブノイズ制御を行った。7.5度程度の広がり角まではキャンセリング効果が確認されたが、それより大きな角度においてはキャンセリング効果は得られなかった。これはキャンセリングの中心点からずれることによる位相のずれにより、逆位相条件が成り立たなくなるためである。そのため、広がり角の制御はアクティブノイズ制御においては、有効性は低いという結論を得た。 3.モーションセンサーによる人の頭部のトラッキングを行う電子走査式パラメトリックスピーカーシステムを構築した。このシステムでは、数cmの精度で当初予定の30fpsでの頭部のトラッキングが実現された。パラメトリックスピーカーによる方位の制御により、人の居る方向に音を出すことができた。またさらに、方向の制御のみならず頭部までの距離情報から音圧を制御、人の位置にかかわらず一定の音圧が得られるシステムを開発し、その制御に成功した。 4.上記、頭部トラッキング可能なパラメトリックスピーカーシステムを使用して、アクティブノイズ制御システムを構築した。頭部までの位置情報から位相の補正も行い、広い範囲でのアクティブノイズ制御に成功した。
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