研究計画で示した,1.点対称拡張法を用いた実測データの境界条件の除去法確立,2.離散的フーリエ変換を用いた振幅伝達特性の計算方法開発,3.離散的フーリエ変換を用いた位相補償特性の計算方法開発,の3ステップのうち,2016年度までにステップ3の一部までを実施済みである.ステップ3は,ローパスフィルタの位相補償特性を離散的フーリエ変換の実数部と虚数部を用いて計算する手法の提案(ステップ3-a)と,実測データを用いた検証(ステップ3-b)からなる.ステップ3-aまでは2016年度までに実施済みであり2017年度はステップ3-bを実施した. 3-b.離散的フーリエ変換を用いた位相補償特性の計算方法開発における実測データを用いた検証:小坂研究所製計測機を用いて10サンプルの計測データを取得した.これらのデータに対し,ガウシアンフィルタとスプラインフィルタを10°ずつ遅らせながら適用し,フィルタ出力と実測データの離散的フーリエ変換の基本波および高調波の実数部と虚数部を用いて,位相遅れが正しくに検出できるか確かめた.ステップ3-aの計算方法によって±90°の位相遅れまでは正しく計算できることが確かめられたが,それを超える角度の位相ズレでは離散的フーリエ変換の3倍以上の高調波の実数部と虚数部では,位相遅れが正しく計算できないことが判明した.このため位相計算に用いるATAN関数をATAN2関数に置き換える対策を施し,離散的フーリエ変換の任意の高調波の実数部と虚数部を用いて,任意の位相ズレを検出できることを確かめることができた. 以上の3-bについては,国内学会で口頭発表(1件)を行った.また,2016年度のステップ2の成果のうち,実データからスプラインフィルタの振幅伝達特性を求める方法の報告を2報に分けて国内学会で口頭発表した.
|