研究課題/領域番号 |
15K05887
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
福岡 泰宏 茨城大学, 工学部, 准教授 (40418679)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | シミュレーション / ロボット / 4足モデル / 移動パターン |
研究実績の概要 |
4 足動物は移動速度に応じて複数の異なる移動パターン(4 脚の動かし方)を切替えている.その切替え条件のみはNature, Scienceを筆頭に多くの学術論文誌において指摘されてきたが,我々は,さらに,個々のパターンが生成する一貫した単純明解なルール(なぜその順番で4 脚を動かすのか)までを世界で初めて発見した.その証明として,簡素な4脚シミュレーションモデルにおいて,設定した1つの移動パターンからプログラムしていない実際に動物が行う他6種の主要移動パターンをすべて創発させ,さらにそれらを速度変化に応じて遷移させることに成功した.しかし,シミュレーションモデルにおいて出現した移動パターンが実際の動物に出現する移動パターンに比べて適切であるのかどうかは不明であった.そこで,シミュレーションモデルの消費エネルギーを計測したところ,trotと呼ばれる一つの移動パターンで歩行から走行まで行うよりも,walk,trot,gallopと移動パターンが遷移したほうがあらゆる速度でエネルギー効率が優れることがわかった.この成果は,Impact factor:2.3の学術論文誌Bioinspiration & Biomimeticsに掲載された.また,同時にロボットにおいても同様の成果が得られることを実証した.この成果についてはIEEE Transactions on Robotics(Impact factor:2.5)への投稿を目指し執筆中である.また,これまでのシミュレーションモデル,およびロボットは機構と制御系が非常にシンプルなモデルであったため,より動物に近い機構と制御系を持つシミュレーションモデルを構築し,walk,trotの移動パターンの自律遷移を実現している.この成果はH28年度中に神経工学系の学術論文誌に投稿する予定である.また,同じ複雑な機構と制御系を持つ4足動物の後脚2脚をモデルとしたロボットを製作し,トレッドミル上で歩行運動させることにも成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
H27年度における当初の研究計画は「新しいシミュレーションモデルを構築し,基本移動パターンのtrotで定常歩行させることを目標とする.また,後期から,1脚ロボットの製作,実験を行い,宙吊りで動物と同じ脚軌道が生成できることを確認する.筋肉モデルとしては,市販の空気圧人工筋肉アクチュエータを用いる.」であったが,新しいシミュレーションモデルにおいてはtrotのみならずwalkでの歩行も可能にした.また,ロボットについては既に人工筋肉アクチュエータを用いた2脚ロボットによるトレッドミルでの歩行を実現したからである.
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今後の研究の推進方策 |
新しいシミュレーションモデルにおいては,walk,trotの移動パターンの自律歩容遷移を実現しているが,若干まだ不安定感があるので,パラメータ調節を綿密に行い,安定した歩行を実現することを目指す.また,同時にtrotからgallopへの遷移も実現させる.また,新しいロボットに関しては,4脚でのtrot歩行をトレッドミル上で実現することを目標とする.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していたよりもロボット製作に若干の遅れが生じたため,ロボット制作費として若干のあまりが生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
前年度計画していたロボット製作における人工筋肉アクチュエータの追加購入,およびその周辺部品の購入を行う予定である.
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