研究実績の概要 |
4足動物は移動速度に合わせて4脚の振り方(移動パターン)をwalk, trot, gallopなどと切り替えていることが知られているが、なぜそのようになるのかは生物学においても未だ明確にはわかっていない。本研究では、シミュレーション4脚モデルや4脚ロボットを構築し、それを歩行走行させることによって状態を観察し、なぜ移動パターンが遷移するのかを解明することを研究のゴールとしている。我々はこれまでに、脚が伸縮するシンプルな4脚シミュレーションモデルと4脚ロボットの上で自律的な移動パターン遷移を実現し、それが起こる簡単なルールを発見していた。しかしながら、そのモデルは制御、機構共にシンプルすぎたために、本研究期間においては、より動物に近い機構と制御方法を持つ4脚シミュレーションモデル、および4脚ロボットを構築し、シンプルモデルに起きた現象が同じルールの上で見られるかどうかを確認することにした。新しい神経系は、生物の脊椎に存在するCentral Pattern Generator(CPG)と呼ばれる歩行走行のリズムを生成する神経回路のうち、2階層CPGと呼ばれる、リズム生成部と脚振り軌道生成部の2つのパートを持つよりリアルなCPGモデルをシミュレーションモデル上に構築した。また、シミュレーションモデルの機構としても、一脚3関節を6つの筋肉アクチュエータモデルによって駆動する猫を参照にしたよりリアルな4脚モデルを構築した。それを歩行させたところ、walk、trotで歩行可能なことが分かった。また、ロボットにおいても後脚のみではあるが、猫を参照にした機構の後脚2脚ロボットに新しい2階層CPGモデルを用いてトレッドミル上を安定して歩行することに成功した。
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