研究実績の概要 |
マニピュレータが対象を把持した手応えをオペレータに伝えるシステムを実現するため,液圧駆動を用いた把持機構を試作した.本機構はベローズを駆動機構とし,ベローズに水を供給・吸引することで鉗子等を動かすことができる.加えてベローズ内の内圧変化を測定することにより,外力を検知できることから,センシング機能を有するアクチュエータである.さらに試作した把持機構を用いて対象を把持した際の把持力を検出できることを確認し,鉗子部および液供給部の機構を改善することで力の検出精度を向上することができた.また生体試料を用いた把持実験を行い,その結果より把持した生体の剛性等の機械的特性の差異を判別することが可能であった.加えて,これらの機械的特性を表現する数学的モデルを構築し,新たに生体の種類や病理的な違いを機械的特性より判別する手法を提案した.これより本システムにより把持することで,生体の機械的特性をデータ化することができることが明らかとなり,本システムの原理を用いたロボットによる触診による診断の実現性を示すことができた.これらの成果は評価の高い海外欧文誌論文に掲載,または国際会議において発表がなされ,特に臓器の把持力の違いを検出した成果については,国際会議 3rd CIRP Conference on BioManufacturin(11-14,July,2017,Chicago, U.S.)においてBest Paper Awardを受賞するなど非常に高い評価を受けた.今後は本システムの実用化に向け更なる評価実験を重ね,本研究成果が手術マニピュレータの安全性・正確性を高めることに寄与できるよう,研究を進めていく予定である.
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