研究実績の概要 |
<研究成果の具体的内容> 本研究は, 滑りを検知できるセンサを搭載し,自動的に可変剛性できる空気レスタイヤの開発と滑り検知情報を利用した低スリップ走行アリゴリズムの構築を目的とする. 一般的に, 走り出しや, 緩い地盤, 降雨時の地盤, 瓦礫地盤では, 滑り現象が顕著となる. そこで, タイヤの剛性を変化させ適切な接地状態を保持し, 低剛性(柔軟状態)においてもパンク皆無の空気レスタイヤを用いて滑りセンサと自動可変剛性ユニットで構成される画期的な空気レス・インテリジェンスタイヤを開発する. そして, この空気レス・インテリジェンスタイヤを用いて低スリップ走行を実現させる革新的な走行アリゴリズムを構築する. 平成28年度は可変剛性手法の確立及びセンサの搭載方法の検討・設計・製作について実施した. 可変剛性手法として, 申請書の段階のものと合わせて発展的なものについても検討を行った. まず, 申請書に記述した繊維材料を横方向へ引っ張り, その際に発生する法線方向への変位と張りをトリガとして可変剛性を行う車輪については軟弱地盤, 剛体面などを再走行させ, その際の走行性能を把握・確認した. また, 発展期な可変剛性車輪では, バネを用いて車輪表面の剛性が変化する構成にしている. 走行試験では, 剛体面走行時は剛体モードとして, その際, 転がり抵抗が低く(駆動用車輪の電流値を計測), 軟弱地盤走行では柔軟モードにしてスリップ率が低い値を示した. <意義・重要性> 東日本大震災にも多く見られたが多くの瓦礫が介在するレスキュー車両による救助活動において, 空気圧タイヤのパンク現象が起きる. 本提案インテリジェンスタイヤ及び低スリップアルゴリズムの確立によって瓦礫に代表される危険領域において, 安全迅速に行うことができるレスキュー活動においても大きく寄与すると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は, 剛体面や軟弱地盤を走行させた際のセンシングデータを用いたアルゴリズムの構築を行っていく. センシングデータにはノイズも多く乗っていることや, センサごとの個体差もあるために, キャリブレーションやフィルタを用いて, 扱いやすいデータにしていく. また, これらのセンシングデータを統括するためのシステムを構築していく. 具体的には, センシングデータをマイコンで取得し, それを有線(無線)にて上位PCに転送し, フィードバック情報として用いて, その後, 可変剛性の剛性部と車輪駆動トルクの制御を行う. 実際は単輪走行試験を実施し, 車輪の移動速度や変位量を測定し, 有効性を導出していく予定である.
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