本研究課題では,装着型ロボットの歩行アシストおいて使用者の身体負荷を低減する学習制御システムの開発を行った.本研究で開発した学習制御システムの特徴は,腕の力が減少する歩行パターンの修正量を逐次最小二乗法を用いて推定する点である.一般に,力が減少する修正量を求めるには、軌道のパラメータをわずかに変更したときの使用者の力の変動を求める試行を必要とする.この試行数は軌道のパラメータが多くなるほど増大するため,学習に必要な試行数が増大するという問題がある.逐次最小二乗法を用いることによって,適切な修正量の推定とパラメータの変更を少ない試行数で実行することができ,効率的な学習を実現することができた.計算機シミュレーションによって,逐次最小二乗法を用いた学習アルゴリズムによって,適切な軌道の修正量を計算でき,評価関数を減少する方向に学習が進むことを確認した. 学習制御アルゴリズムを装着型歩行補助ロボットの制御システムに実装し,その有効性を検証した.トレッドミル上を装着型ロボットで歩行する環境を構築し,歩行中に腕で体差を支えるときの力を6軸力・モーメントセンサで計測した.使用者の負担の指標として,評価関数を一歩の間の力の積分値で定義した.200歩の歩行の施行を行い,腕の力の積分値は学習前と比較して13%減少することを確認した.以上の結果は,本研究で開発した学習制御アルゴリズムの有効性を示すものである.
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