鳥類は羽ばたき動作だけでなく,滑空,旋回,ホバリングといった様々な飛行を実現できる.平成29年度は両翼で10自由度の羽ばたき翼を持つ飛行ロボットの増力装置の開発と脚機構の軽量化および跳躍による離陸の実現に取り組んだ. 1つ目の増力装置の開発では,前年度に取り組んだ10自由度の羽ばたき翼を持つ飛行ロボットの揚力不足改善について,鳥の筋肉構造の知見を取り入れた機構を開発した.鳥類は翼の振り下げ時に大きな力を必要とすることから,振り下げの筋肉が振り上げの筋肉に比べて格段に大きい.これを模擬するために,翼の関節部にバネ材を組み込み,翼の振り上げ時に弾性エネルギーを蓄積し,蓄積したエネルギーを翼の振り下げ時に開放することで大きな力を発生させる.開発した機構を羽ばたき飛行ロボットに組み込み,揚力および推力の増加を確認した. 2つ目の脚機構の軽量化および跳躍による離陸の実現では,前年度に取り組んだ脚部構造を大幅に軽量化するために,脚部に組み込んだ複数のトーションバネを一体成型し,バネ材だけで脚部を構成することとした.羽ばたき飛行ロボットの積載重量以内に脚部を収めることに成功した.脚部に蓄えられた弾性エネルギーにより,羽ばたき飛行ロボットを跳躍・離陸させ,羽ばたき飛行に遷移させることに成功した. 3年間の研究期間においては,両翼で10自由度を有する羽ばたき翼を持つ飛行ロボットを開発し,羽ばたき方の検討を行い,羽ばたきと力の発生の関係について調べた.また,翼の断面形状の違いおよび翼の駆動方法の違いによる飛行特性の変化について調べた.さらに,トーションバネを用いた脚機構を開発し,羽ばたき飛行ロボットの跳躍による離陸に成功した.
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