研究課題/領域番号 |
15K05909
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
小金澤 鋼一 東海大学, 工学部, 教授 (10178246)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 多関節グリッパ / 関節剛性 / 把持力分布 |
研究実績の概要 |
極限環境下で物体の把持運搬を担うロボットハンドは環境外乱を受けながら安定し駆動する機構の堅牢さと,把持対象をロバストに把持できることが求められる.そこで本研究では多関節構造を有した多関節グリッパ(以降MJG)を開発した.具体的な研究の狙いとしては,自然環境下で安定に駆動し物体をやわらかく把持することが可能なMJGの開発を目標としている.MJGは物体の形状に沿ってなじみ,包み込む動作をとる.各関節の物体との接触/非接触の分岐には電子センサによるフィードバック制御に依存せず差動歯車機構を利用することで実現する.この機構を用いることで単一のアクチュエータで駆動し,全関節に同一の屈曲姿勢を入力可能である.またMJGの関節は入力軸との間にバネが配置されているため外力に対して関節が柔軟性を有している.これをなじみ動作に適用する.本MJGを現場で使用することを考慮すると把持対象には様々なやわらかさがあり,それらに応じた関節剛性に調整して把持できることが望ましい.そこで設計に関節の回転剛性を調整できる剛性可変機構(VSM : Variable Stiffness Mechanism)を導入した.VSMはなじみ動作を司るばねの牽引量を制御しており,牽引量の大小で関節剛性を調節する.平成27年度においては上記に挙げた動作が可能な4関節を有する指部とそれらを統合した多指モデルを開発した.様々な形状の物体の把持実験を行った結果,バネ力の調節により均等な把持力分布を有する把持が可能であることを実証した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では,試作2号機(4関節を有する多関節指3本で構成されるハンド)の開発を平成28年度中庸までとしていたが,平成27年度において設計と開発を終了し,さらに簡単な駆動実験まで行うことができた. さらに,試作2号機をモデルとしたコンピュータ解析もほぼ修了し,ばね定数の設定により把持力分布がどのように変わるか,また柔軟物体の把持を行う際,その柔軟物体の変形がどのようになるかを有限要素法解析により解析し,これもばね定数の設定による違いを検討した.
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度:[機構上の改良]①把持物を多関節指の基底部に誘導する機構を付加する.②各関節の剛性を決定するバネのばね定数を動的に変更できる機構の付加. [シミュレーション解析]多関節指の先端で物体をピンチングし,その位置および傾きを自在にハンドリングする制御方法を探る. [実験]上記の機構およびシミュレーション結果を検証するための駆動・制御実験を行う. 平成29年度:平成27-28年度の成果を受け,3号機の設計製作および把持実験,把持物の位置,接触状態,硬さに対応した関節剛性の制御実験とシミュレーション結果との比較・検証を行う.
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