研究課題
災害現場あるいは宇宙や深海等の過酷環境下において物体を把持し運搬する極限作業・探査用ロボットハンドは,未知形状・未知硬度の物体を安定的に把持することが求められる.これは把持対象物の形状や硬さに適応し,ハンドの関節剛性を調節する機能を意味する.ロボットハンドの把持動作は大きく指先把持(ピンチング)と包み込み把持(エンベロープ・グラスピング)に大別できる.前者は対象物を指先で摘み器用に操作するロボットハンドとしてこれまで盛んに研究されている.後者は指全体と手の腹を使った「握り」動作である.極限環境下での安定的な把持・運搬作業を考えた場合,少ない接触点を持つ指先把持より,多数の接触点を持つ包み込み把持が適している場合が多いと考えられる.そこで本研究ではセンサレスで未知形状・未知硬度の物体の包み込み把持が可能な多関節グリッパの開発を目的とした。以下に研究成果を列挙する。(1) 試作3号機の開発:4関節を有する試作3号機を設計・開発し、3本の多関節指をもつマニピュレータを完成させた。さらに多層のPICで構成される制御システムを完成させた。(2) 駆動・制御実験:様々な形状の物体の把持、摘まみ動作から包み込み把持への移行実験を行った。(3) 把持および把持力検知:各関節の剛性を決定するバネをセンサーとして用いる把持および把持力検知実験を行い、シミュレーションと整合するデータが得られることを確認した。(4) シミュレーション:包み込み把持の動力学解析を行い、関節剛性を規定するバネ定数と把持力および把持力分布の関係を明らかにし、実験により検証した。
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日本ロボット学会誌
巻: Vol.35, No.6, ページ: 479-485
計測自動制御学会論文集
巻: Vol.53, No.1 ページ: 64-72