研究課題/領域番号 |
15K05910
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
甲斐 義弘 東海大学, 工学部, 教授 (00320119)
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研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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キーワード | ロボット / ロボットスーツ / 安全装置 |
研究実績の概要 |
近年,人の身体に装着して使用するロボットスーツの研究開発が活発に行われてきており,医療・福祉をはじめとする様々な分野でロボットスーツの実用化が望まれている.このようなロボットスーツにおいては,その制御用コンピュータやセンサが故障等により機能しなくなりロボットスーツが暴走した場合でも人の安全を確保するための安全対策が重要である.ロボットスーツが暴走した時の安全対策として,緊急停止ボタンや関節可動域を制限する関節角度リミッタの使用などが挙げられる.しかし,緊急停止ボタンでは,ボタンが押される前に,(i)ロボットスーツを取り付けた脚が地面等と高速度で衝突する,(ii)人体に高負荷が掛かるなどの危険性が考えられる.また,関節角度リミッタにおいても,関節可動域制限に達するまで,同様の危険性がある.本研究では,人に対するロボットスーツの安全性の向上を目指し,ロボットスーツ暴走時に予め設定しておいたレベルの角速度・トルクがロボットスーツの関節に発生した場合,機械要素のみでそれを検知しロボットスーツを停止させる「ロボットスーツ用メカニカル安全装置(以下,メカニカル安全装置)」を搭載したロボットスーツ(下肢用ロボットスーツ)を開発することを目的とする.予め設定する角速度・トルクのレベルは,ロボットスーツに要求される内容に応じて設定変更可能である.平成28年度は,(i)平成27年度に引き続き,メカニカル安全装置を搭載したロボットスーツの設計を行い,(ii)設計したロボットスーツの有効性を解析・実験等により検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画当初(平成27年度科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)交付申請書作成時,平成27年10月)においては,平成27年度は,(1) メカニカル安全装置を搭載したロボットスーツの理論解析とその解析結果に基づくロボットスーツの設計,(2) (1)の設計に基づいたロボットスーツの一部製作,平成28~29年度は,(1)メカニカル安全装置を搭載したロボットスーツの製作,(2) メカニカル安全装置を搭載したロボットスーツを用いた動作実験およびメカニカル安全装置の有効性の検討,(3)まとめを行うことを計画した.平成27年度においては,上記当初の計画では,理論解析において見落とし等があった場合,それに気づかずロボットスーツを設計・製作してしまい,研究終盤になって実施する実験によりその見落とし等による不具合が発見される危険性があったため,「理論解析結果の有効性を検証するための実験装置を製作し,理論解析結果の検証実験を行いつつ,ロボットスーツを設計する」こととした.そのため,平成27年度では,当初の計画よりやや遅れ,ロボットスーツの膝関節部しか設計できなかった.平成28年度では,ロボットスーツの残りの関節部(足関節部,股関節部)の設計,メカニカル安全装置を搭載したロボットスーツの製作を行い,メカニカル安全装置の動作実験およびそれに基づくメカニカル安全装置の有効性の検討を行った.平成27年度に計画変更を行ったため当初の計画よりも若干遅れてはいるが,おおむね計画どおり実施しているため,「おおむね順調に進展している」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
本研究の今後の推進方策は,以下のとおりである. 平成29年度は,平成28年度に引き続き,設計したロボットスーツの製作を行う.製作したロボットスーツを用いてメカニカル安全装置の動作実験を行い,製作したロボットスーツ搭載時にメカニカル安全装置が目的通り動作するか否かについて検証を行う.実験の結果に基づき,メカニカル安全装置およびそれを搭載したロボットスーツにおいて改良すべき点などがあれば適宜改良を加える.また,改良を加えた場合,改良したロボットスーツを用いて再度実験を行い,メカニカル安全装置の有効性について検証する.最後に,本研究で得られた成果のまとめを行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に行った計画変更に伴い,ロボットスーツの製作に若干の遅れが生じ,予定していたロボットスーツの一部の部品の発注が平成28年度に完了できなかった.そのため,次年度への繰越金が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の研究費は,主に,設計したロボットスーツの製作・改良,ロボットスーツを用いた実験(改良した場合は再実験も含む),成果報告(旅費含む)に使用する予定である.平成28年度に生じた繰越金は,平成28年度に発注が完了できなかった部品の購入に使用する予定である.
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