近年,医療・福祉をはじめ様々な分野でロボットスーツの実用化が望まれてきている.このようなロボットスーツにおいては,その制御用コンピュータやセンサが故障等により機能しなくなりロボットスーツが暴走した場合でも人の安全を確保するための安全対策が重要である.ロボットスーツが暴走した時の安全対策として,緊急停止ボタンや関節可動域を制限する関節角度リミッタの使用などが挙げられる.しかし,緊急停止ボタンでは,ボタンが押される前に,(i)ロボットスーツを取り付けた脚が地面等と高速度で衝突する,(ii)人体に高負荷が掛かるなどの危険性が考えられる.また,関節角度リミッタにおいても,関節可動域制限に達するまで,同様の危険性がある.本研究では,人に対するロボットスーツの安全性の向上を目指し,ロボットスーツ暴走時に予め設定しておいたレベルの角速度・トルクがロボットスーツの関節に発生した場合,機械要素のみでそれを検知しロボットスーツを停止させる「ロボットスーツ用メカニカル安全装置(以下,メカニカル安全装置)」を搭載したロボットスーツ(下肢用ロボットスーツ)を開発することを目的とする.予め設定する角速度・トルクのレベルは,ロボットスーツに要求される内容に応じて設定変更可能である.平成27年度は,(i)メカニカル安全装置を搭載した下肢用ロボットスーツの設計を行うための解析およびその有効性検証実験を行った.さらに,(ii)解析結果および実験結果を踏まえて,ロボットスーツの膝関節部に関して設計を行った.平成28年度は,(i)平成27年度に引き続き,メカニカル安全装置を搭載したロボットスーツの設計を行い,(ii)設計したロボットスーツの有効性を理論解析および実験により検証した.平成29年度は,(i)平成28年度に引き続き,設計・開発したロボットスーツの有効性を実験により検証し,(ii)まとめを行った.
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