空気圧サーボを用いてX-Yステージを構成するとき必然的に短軸より配管が長くなる。平成28年度は、H∞制御と二自由度制御を長い配管を持つ本ステージシステムに適用したが、速応性に問題があった。29年度は引き続き、この問題に取り組んだ。応答性が悪いのは制御系設計に用いる配管モデルの精度が悪く、制御系設計が保守的になるためと考えた。そこで従来は配管モデルを2次遅れ要素として近似して取り扱っていたものを、管路の連続の式および運動方程式を有限要素法により離散化した配管モデルを製作し、これを用いて制御器を設計する方法を提案した。これを圧力制御系に適用し、提案する設計法の妥当性を確認した。しかしながら速応性は予想より向上しなかった。現在、この要因を検討するとともに本ステージに適用できるようなモデルを拡張し、ステージの制御器設計を行っている。 非接触駆動空気圧サーボを用いたX-Yステージの製作については、研究目標である配管を内蔵するX-Yステージ設計は行ったもののX軸の製作予算が不足し製作にはいたらなかった。また昨年、製作したY軸アクチュエータを用いて、X軸の配管相当の管路があるときの影響を明らかにした。そこで配管の特性を含めたX-Yステージのシミュレータを構築し制御方法について検討した。配管の影響は完全になくならず応答は劣化するものの、位置精度はおよそ保たれ製作できれば目標とするX-Yステージが構築できるとの結論を得た。
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