研究課題/領域番号 |
15K05913
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
岩瀬 将美 東京電機大学, 未来科学部, 准教授 (50339074)
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研究分担者 |
井上 淳 東京電機大学, 未来科学部, 助教 (20609284)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | マンマシンインタフェース / 筋電義手 / 非線形ARX / ベイジアンネットワーク / サポートベクターマシン / 分類器 / 随意性 / 動作推定 |
研究実績の概要 |
本研究は,筋電義手のインタフェースならびに制御方式を研究対象として,従来,オンライン推定型に分類される方式を発展させて次世代オンライン推定型筋電位義手用インタフェースならびに制御方式の開発を目的としている.次世代オンライン推定型で有するべき特徴は,随意性,即応性,多軸多自由度の3つが同時に成立することであり,この特徴を研究期間内に実現する. 平成27年度は,随意性ならびに即応性を有する筋電義手用のインタフェース・制御方式の開発として非線形ARXモデル(NARXモデル)をベースとした方式を開発した.この時,筋電義手で実現できる動作の種類を増やすべく,NARXモデル方式を多入力多出力化することを検討してきた.NARXモデルを多入力多出力化するとシステムの複雑さを示す次数が容易に増大してしまう.そこで,共同研究者 井上の取り組みによってベイジアンネットワークを導入し,事象と因果関係を明確化することで,次数の増大を抑えることを見出した. 平成28年度では,この結果を受け人工ハンドへの実機実装に取組んだ.筋電義手で実現する動作各々に対して,平成27年度までの知見で得られたNARXモデルに基づく随意性・即応性に優れたIF・制御方式を実装し,個々の動作について確認した.その後,これら種々の動作を複合した場合に,筋電位信号から適切な動作選択が行われるための分類機をサポートベクターマシンを利用して構成し,サポートベクターマシン+NARXモデルの階層型インタフェース・制御方式を開発した.この結果は学会で発表し,現在雑誌論文に投稿準備中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度当初にあげていた目標(より実践的な実機実装,筋電義手に複合動作をさせる,センサのマルチアレイ化)のうち,実機実装や複合動作の実現に関しては,ほぼ予定通りの進捗となり,学会で成果発表をし,また現在その結果を雑誌論文にまとめている最中である.センサのマルチアレイ化については,デバイスの検討を進めている段階であり,平成29年度にはシステム運用に組み込めるように努力したい.
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は,研究の最終年度にあたることから,随意性・即応性・多軸多自由度という3つの特徴をもつ筋電義手用インタフェース・制御方式の完成度合いを高めることを中心に実施する.その中で,現在の筋電義手に見られるハードウェア的な不備が見いだされてきたので改良も同時に進める.完成度の評価として, 簡易上肢機能検査(STEF)など近年筋電義手の評価にも用いられている検査を検討していく.マルチセンサ化についてはデバイスの運用を含めて検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画当初では,国際学会での成果発表を予定していたが,残念ながら国際学会での成果発表の機会に恵まれず国内発表のみとなった.このため海外出張費の支出が発生しなかった.また被験者を募ってのシステム評価の機会が予定より減ったことから謝金の支払いが減少した.
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度では,国際学会で成果発表,筋電義手のハードウェア改良,被験者を募ってのSTEF検査にかかる海外出張費,物品費,謝金費が増大する見込みである.これらの支出に充てる予定である.
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