研究課題
3年目はアフォーカル液晶広角中心窩光学系の局所ズームレンズユニット部の改良に取り組んだ,これまでの研究進捗から,レンズとして光量や結像性能にはまだ改良の余地が残されているが,目的の局所的な拡大・縮小及び多電極構造による高速注目点移動実現が可能であることは理論的に証明された.しかし,従来の液晶レンズセルのレンズパワーでは屈折率変化が小さく,3倍以上の像倍率変化には2つの液晶レンズ間の距離を240mm以上にしなければならなかった.そのため,寸法をどれだけ小さく出来き,そのときどれだけのレンズパワーが必要となるかに主眼を置き,設計・評価フェーズと試作フェーズの2つの工程で研究を遂行した.設計・評価フェーズでは,像倍率変化と実現可能な寸法,必要レンズパワーの関係の計算を,ガリレオ式及びケプラー式望遠鏡と比較して研究分担者の佐藤とともに実施した.国内旅費を使用して打ち合わせを行った.調査・情報収集のため海外旅費を用いて国際学会に参加した.試作フェーズでは,研究分担者である河村の協力の下,従来より液晶層の厚い液晶レンズセルを製作し,局所ズームレンズユニットをテストした.また,国内旅費を使用して研究調査ならびに打ち合せを行った.以下に得られた知見を記す.(1)液晶レンズセルの厚みを変えると,レンズパワーは厚みに比例して大きくなり,厚みの2乗に比例して応答時間が長くなる.しかし,厚みは大きくなりすぎると液晶分子の配向現象による透明化が起きない層が生じ再び濁る.(2)液晶レンズセル駆動電圧を工夫することにより応答時間を速めることが出来る.(3)液晶層の薄い応答時間の短い液晶レンズを積層することにより,トータルで同じ大きさのレンズパワーが得られるが,液晶レンズセルを構成するガラス等の反射により光の透過率を下げるため,光量の少ないアフォーカル光学系には必ずしもメリットとはならない.
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
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