研究課題/領域番号 |
15K05918
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
原田 孝 近畿大学, 理工学部, 教授 (80434851)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 知能機械 / パラレルメカニズム / 冗長ロボット / 機構解析 / 機械設計 / 最適化 |
研究実績の概要 |
平成28年度はロボットの設計と試作を研究内容とし,機構解析に基づきロボットの設計と試作を行い,小型汎用ロボット相当の並進300mm,旋回角±90度,回転角360度以上の動作範囲を試作目標とし,基本的な動作確認を行うことを研究目標とした. 本研究のパラレルロボットは,左右ねじれ受動ネジ対偶を用いた出力節を用いて回転動作範囲を拡張することが特徴である.昨年度に先行して試作した回転角360度以上を有するロボットの制御装置を開発し,学会講演(2)を行った.その成果に基づいて,銀行系の競争的研究助成金を獲得して本研究のロボットを工場の実作業へ適用する研究を並行して実施することとなった.また,昨年度に着想した新形状ネジ対偶を用いた差動駆動機構の制御方法を確立し,国際学会講演(4)でベストプレゼンテーション賞を受賞した.これまでの研究者のパラレルロボットの動作範囲の拡張に関する成果に対して,雑誌論文(1)の招待投稿を行うと共に,ロボットなどの機構に関係する著書(1)を執筆した. 平成27年度の機構解析に関する研究結果に基づいて,2アーム6自由度パラレルロボットの構想設計および詳細設計を実施した.本研究のパラレルロボットは駆動冗長性を有するために推力およびトルク制御を行う必要がある.そこで,国内外のアクチュエータを調査し,仕様を満たすリニアモータおよびダイレクトドライブモータを選定すると共に,8軸制御用としてLabViewを用いた制御装置を構築した.ロボット本体の詳細設計は完了し,機械部品および制御装置の選定と導入まで完了させたが,本研究に用いる新形状ネジ対偶を用いた差動駆動機構の摺動性に優れたナット機構の改良試作や5軸加工機を用いたねじ形状の試作に時間を要し,ロボット本体の組立調整には至らなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要に述べたように,ロボット本体の詳細設計は完了し,機械部品および制御装置の選定と導入まで完了させたが,本研究に用いる新形状ネジ対偶を用いた差動駆動機構の摺動性に優れたナット機構の改良試作や5軸加工機を用いたねじ形状の試作に時間を要し,ロボット本体の組立調整には至らなかったために,やや遅れていると評価した.
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度に未実施であったロボット本体の組立調整を早期に完了させて,平成29年度の当初目標である,運動学的冗長性と駆動冗長性を利用して,ロボットの特異性(可操作性)や機構内力を変化させた時のロボットの位置決め精度や力制御性能の影響を明らかにする.平成24~26年度の科研費で導入した円運動試験装置を用いてロボットの位置決め精度を評価し,ロボット設計時に出力節に組み込んだ力センサを用いてロボットの力制御性能を評価することを目標とする.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究実績の概要に述べたように,ロボット本体の詳細設計は完了し,機械部品および制御装置の選定と導入まで完了させたが,本研究に用いる新形状ネジ対偶を用いた差動駆動機構の摺動性に優れたナット機構の改良試作や5軸加工機を用いたねじ形状の試作に時間を要し,ロボット本体の組立調整には至らなかった.そのために,ロボット本体の組立調整後の改良試作のための費用を次年度に繰り越し使用することとした.
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は,平成28年度に未実施であったロボット本体の組立調整を早期に完了させて,当初目標である,運動学的冗長性と駆動冗長性を利用して,ロボットの特異性や機構内力を変化させた時のロボットの位置決め精度や力制御性能の影響に関する研究を進める予定であり,次年度使用額はロボット本体の組立調整後の改良試作に使用する計画である.
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