本研究課題では,再生可能エネルギー(RE)電源の導入拡大に伴う対策としての蓄電池導入効果を検証することを目的として,可変時間離散幅の発電機起動停止計画問題(UC)への適用を試みることを主題においている。平成28年度までに,という二つの技術開発,またその成果を活用して【項目3】RE電源・蓄電池を含めた電源ベストミックスを評価することを目的としている。 既報告の通り,手法の基本アイデアの検証までを平成28年度までに完了しており,要約すると,「計算時間は時間離散幅に対してO(N)で変化すること」,「一方で単純に時間離散幅を長期化した場合には計算結果の精度(=総発電費用)に大きな影響を与えうること」である。平成29年度はこれらの知見を元に,可変時間離散幅を適用する具体的な手法を開発した。具体的には,時間離散幅の長期化の影響が,特に残余需要(総需要からRE電源出力を差し引いたもの)が大きく変化している時間帯において顕著であることに着目し,残余需要の変動量に対して閾値を設け,この閾値の範囲内に収まっている時間帯に対してのみ時間離散幅を長くとる手法を開発した。また,残余需要の変動量のみならず,その総量がマージナル電源(メリットオーダーによる)の累積容量付近にある場合には,起動停止パターンを大きく変えて絵しまう可能性があることから時間離散幅を長期化しない工夫を施した。これらの工夫を凝らした開発手法により,解の計算精度(=総発電費用)の悪化を0.1%にとどめつつ,計算時間を30%に短縮することが可能となり,蓄電池などの多様なリソースを含む電源ベストミックスを検証するための土台を構築することができた。また,蓄電池の利用性をさらに向上させるための仕組みとして,RE電源の出力抑制と組み合わせる手法についても開発した。
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