再生可能エネルギー電源の連系量増加により電力システムの周波数変動が増大し、既存の調整用電源のみで、その変動を抑制することが困難になってきている。そこで周波数変動を抑制する手段として多数の小さな負荷機器の消費電力を調節する負荷制御技術の開発が望まれている。本研究では、この負荷機器の消費電力を自律分散システムの概念に基づいて抑制する超分散自律負荷制御の論理を構築することを目的としている。 この目的を達成するため平成29年度は、昨年度に引き続き平均合意アルゴリズムを用いた多数の電気自動車搭載蓄電池による自律分散型負荷制御の研究を行った。計算機シミュレーションにより、周波数変動抑制効果と蓄電池充放電状態(SOC)の同期性能を集中型制御方式と比較した結果、周波数変動抑制効果はわずかに低下するもののSOC同期性能は向上することが分かった。 また現在の電力システムで実施されている集中型の周波数制御LFCを、耐故障性の向上に有効な自律分散構造に変更するとき、平均合意アルゴリズムが電源出力の決定に有用であることを、電気学会の需給・周波数制御システムモデルAGC30を用いたシミュレーションにより明らかにした。 さらに多数の小規模負荷機器をオン・オフさせて消費電力を変更することにより、大規模電力システムの周波数変動を抑制する負荷制御系において、負荷制御に使用される負荷機器の使用の偏りを平均合意アルゴリズムを応用して低減する方法の基礎原理も考案した。
|