スイッチトキャパシタコンバータ(SCC: Switched Capacitor Converter)を基礎構成としつつ双方向PWMコンバータと直列共振型コンバータを統合したSCCマルチポートコンバータ(MPC: Multi-Port Converter)の詳細動作解析ならびに実機検証を行った。 SCC-MPCはPWMコンバータと共振型コンバータの両方の原理に基づき動作するため、回路中の各素子では矩形波電流成分と正弦波電流成分が混在することになる。SCC-MPCに対して、矩形波電流成分と正弦波電流成分を分離しつつ電荷移動解析に基づいた詳細解析を実施し、回路中の各素子に流れる電流の定式化を行った。これにより、回路素子の電流定格を適切に決定することが可能となった。 SCC-MPCでは1つの回路で太陽電池パネルとバッテリの両方を同時制御するため、制御の相互干渉が懸念される。動作波形解析に基づき、バッテリ電圧と太陽電池パネルの制御にそれぞれPWMとPFM制御を用いて非干渉で制御可能な条件について定式化を行った。 スタンドアロン太陽光発電システム用途を想定し、定格電力150Wのプロトタイプを製作した。定格出力時において97%の高効率の電力変換効率を達成できることを示した。また、バッテリ電圧と太陽電池パネル電圧をそれぞれPWMとPFM制御を用いつつ非干渉で制御可能であることを示した。ソーラーアレイシミュレータと最大電力点追尾制御(MPPT)を用いた実験では、太陽電池パネル出力の変動時においてもパネルを最大電力点で動作させつつ、負荷に対する過不足分の電力はバッテリが吸収可能であることを実験により示した。
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