研究実績の概要 |
共振形DC-DCコンバータに適用される磁気デバイスには,その高周波励磁条件からフェライトコアが用いられるが,コンバータの効率評価にはフェライトの鉄損の定量的把握が求められ,フェライトの材料パラメータの定量的評価およびフェライトコアを用いたトランスの非線形回路モデルの開発が求められている。そのため,本研究では,前者に対し動的磁気損失パラメータを提案し,後者に対しては非線形インダクタと2種の非線形抵抗の3並列回路を提案した。また,本研究では,両者をフェライトコアの寸法により定量的に関係付けた。前者に対してまとめた内容の論文を米国物理学会(AIP)が主催する国際会議において発表し,同学会の査読付論文として掲載された。また,後者の内容をまとめた論文を米国電気電子通信学会(IEEE)が主催するパワーエレクトロニクス関連国際会議において発表し,そのプロシーディングにフルペーパーが掲載され,公開された。 フェライトの非線形磁化特性をHm(B, dB/dt, Bm, T),Hh(B, Bm, T),Hf(B, dB/dt, Bm, T)として定量的に整理した。ここで,Hm, Hh および Hf は,それぞれ磁束密度Bを発生する磁界,ヒステリシス損失を生ずる磁界および動的磁気損失を発生させる磁界で,d/dtは時間微分,Bmは励磁最大磁束密度,Tは温度を表し,それぞれの非線形磁界の引数となっている。また,これらに対応するフェライトインダクタの非線形等価回路を導出し,非線形インダクタ,ヒステリシス損失を消費刷る抵抗および動的磁気損失を消費刷る定稿をそれぞれHm, Hh および Hf に関連させて定量的に表した。 本研究により,フェライトの瞬時磁界が励磁条件である磁束密度およびその時間微分の瞬時値から定量的に算出できるようになり,コンバータの損失および効率解析に重要な情報を提供できるようになった。
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