・高速度カメラ(2台用いて2方向から撮影した結果を含む)、パールチェーン型トリーが形成される条件およびその進展機構について検討した結果を以下に述べる。 1)正弦波と方形波の比較ではトリー発生電圧および破壊までに差が見られた。波形の立ち上がりが、トリー発生に関係するためと考えられる。2)トリーの進展速度は途中で大きく変化した。これらはモード1とモード2と名付けられた。それぞれの概要は次の通りである。モード1:トリーの関係の大きいものがバブルとストリングスを交互に振動させながら一方向に進展。モード2:細かいトリーがほぼ一様に同じ間隔で進展 3)パールチェーン型トリーの進展時に、ストリングス部は一様な進展ではなく伸縮を繰り返しながら進展しており、同時にその過程でバブルが形成されていることが見て取れた。 ・ゲル状物質に対するカー効果を用いた電界測定について検討した結果を以下に述べる。 電気トリーに使用しているゲル状物質にはシリコーンゴムを利用しているが、カー効果によるゲル中での電界測定の有効性を示すために、測定が容易であるカー定数の大きい炭酸プロピレンにアクリル樹脂を溶かしてゲル状にした重量比の異なるゲル状試料を作製し、平行平板電極系を用いて静電界下でカー効果による位相差の測定を行った。 その結果、すべての試料において、カー効果が維持されていること、PMMAの割合が多くなるにつれて変化量が小さくなることなどが明らかとなり、さらに、炭酸プロピレンに対するPMMAの量によって、カー定数を補正することで電界を決定することができる可能性を示唆した。 ・これらの得られた結果をもとに、5件の学会発表をおこなった。
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