最終年度において申請書に記載した「研究の目的」、「研究実施計画」からは大きく外れるが、計測制御システムの仕様策定と設計を行った。従来二次元ベクトル磁気特性測定システムで使用していた横河電機の計測ステーション WE-3000 が廃版となるため、新規の計測制御システムの検討せざるを得なくなった。本研究テーマでの局所的励磁においては目標磁束密度励磁の制御が難しく、制御方式の検討が避けられない状態であった。さらに加えて使用 OS (Windows XP) やミドルウェア(MATLAB 2006) に強く依存した計測システムであったため、制御方式の改善が困難であるとともに将来的な研究ニーズに対応できないと判断した。本研究室内の磁気特性計測システムは1年以内に計測困難に陥ると考えており、研究の継続性が著しく損なわれる。また、本研究テーマの磁気特性測定においても低損失材料として 0.08 mm や 0.05 mm の厚さの極薄ケイ素鋼板の使用が強く求められている。これらの材料の磁気特性を場合によっては 10 kHz までの周波数に渡って測定する必要があり、従来の計測制御システムでは測定不能であることも理由の一つである。 研究期間全体を通じては局所磁気特性測定プローブを試作した。 25 mm x 25 mm コアへの小型化を目指し試作を行ったが、磁界強度の H が通常のコアサイズ(50 mm x 50 mm) の2倍の値で測定されていることが判明した。ダブル H コイルは 4 mm 角を使用しており、励磁コアからの漏れ磁束がダブル H コイルに流入していると考えられるとともに、より小さなコイルが必要であることが明らかになっている。
|