研究課題/領域番号 |
15K05950
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
郭 海蛟 東北学院大学, 工学部, 教授 (00224353)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | PWM / 繰返し制御 / インバータ / BLDCM / 内部モデル原理 / 高次繰返し制御 |
研究実績の概要 |
今年度は前年度の研究を更に発展するため、高次繰返し制御に関する検討、シミュレーションによる検討と実験システムの構築を行った。また、前年度の成果をまとめて国内外の会議に発表を行った。 まず、前年度の研究から繰返し制御によりPWM信号の直接生成できることがわかり、これを応用してシミュレーションにより単相インバータの駆動が成功したことを理論とミュレーション結果をまとめて、国際会議にて発表を行い、各国の研究者から質問があり、一定の関心が示されていることがわかった。 そして、繰返し制御について、従来の一次繰返し制御について、高次な繰返し制御を検討を行った。高次な繰返し制御は制御系全体のロバスト性の向上に役に立つことがわかったが、まだ研究が足りていないのが現状である。それで基本的な2次、3次繰返し制御系の追従条件、パラメータの設計法を新たに提案した。このような研究は今後の高次繰返し制御の研究の基礎となり、理論上が有用だけではなく、これからモータ制御における役割についても検討をしていく予定で、その実用性を示すことができれば、高次繰返し制御の有用性を大いに期待できることに繋がる。それらの提案方法を国内の学会に発表を行った。 更に、科研費で購入したdSPACE社製のDSPを用いて、既存のモータ、インバータと一緒に実機システムの構築を行っている。必要な接続回路をはじめ、いろいろと製作する回路も必要となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はもっと深く学習制御と繰返し制御の可能性を追求することと、実験による検証を中心に研究を進めている。まず、いろいろな制御アルゴリズムについて制御性能の比較と検討を行った。そして、実験装置の製作と制御系を構築した。基本的には予定通りに進んでいる。 (1)実回路の問題点を考慮した対策の検討:実回路においていろいろな意味で理想の場合と違う問題が発生する。例えば、デットタイムについて回路で実現する場合には、それぞれの相には同じデットタイムを保障することができない。3相負荷としても完全に同じものであることは殆どない。このような問題について、従来のPWM信号を生成する方法による対処することは困難と考えられる。しかし、学習制御と繰返し制御の方法を利用すれば、学習と繰返しをしている内に改善してくれる可能性があることが考えられる。これは理論上から解明することは時間を要することではあるが、シミュレーションによりその可能性を確かめることが可能である。このような可能性としては著者が考え出した学習制御と繰返し制御によりPWM制御信号を直接生成する方法だからこそ可能と考えられる。そのような改善効果を確かめることができれば、実用上にはもっと精密な制御に繋がることができ、大いに効果を発揮することを期待できる。 (2)実験システムの構築:実験システムとしては電源、インバータ、駆動回路、制御系(DSP)などが必要不可欠で、既存の電源とインバータとモータを利用して、購入したdSPACE社製のDSPと一緒に、実験システムの構築を行った。このような実験システムにより、シミュレーションによる得られた知見の検証を行うことができるようになる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究では学習制御・繰返し制御は直接PWMの信号を生成できたこと、インバーターをうまく駆動することができるなどを明らかにした。更に、インバータの特有なデットビット問題についても対処できることがわかり、提案する繰返し制御の有用性を明らかにした。これからは繰返し制御の特徴とする外乱を抑制する能力に注目したいと思います。インバータのシステムやモータの制御システムには、数多くの外乱が含まれています。これらの外乱への対応はインバータのシステムの安定性、モータの制御システムの省エネルギーなどに非常に重要となる。また、実システムには複数の外乱が存在しているので、現在の繰返し制御を用いて、簡単に対処することができないと考えられている。 そのために、高次な繰返し制御の開発が必要と思われている。今年度に引き続き、高次な繰返し制御の研究を進めていく予定である。 そして、実機システムを構築して、実験できるような環境を整う予定である。ある程度できた実機システムについて、周辺回路のノイズ対策を行う必要がある。また、いろいろな外乱を模擬するための方法も考えなければなりません。このような実機システムの環境を整えば、いろいろな実機試験を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験で使う予定のインバータが10年前のもので、これから使うには少し不安がある。そのため、万が一インバータが壊れた場合に備えて、購入できるように次年度に残すことにした。
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次年度使用額の使用計画 |
これから実験システムの構築により、発生するインバータの購入、回路作成の部品など消耗品の購入などに有効に使う予定である。 1)インバータの購入:25万~35万、2)部品の購入:10万~15万、3)消耗品の購入:5万程度
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