研究実績の概要 |
高層建築物等に汎用される無鉄筋コンクリート供試体を対象として、直撃雷爆風圧によるコンクリート亀裂を経由する放電様相と抑制法に関する雷模擬放電実験を実施した。 すなわち、①主放電が沿面から接合経由で接地極に捕捉される接合ギャップ構造により、亀裂閃絡モデルが得られる。②正負極の沿面放電領域は、気圧増加に伴い面から複数の筋に縮小する。③正負極の放電時間波形はp≧2.0atmで歪波形から単極の平滑波形に推移する。④正負極放電の規格化放電電荷量はp≦2.0 atmで各々30 %, 48 %に急激減衰し、p≦5.0 atmでは各々39 %,52 %に緩和減衰する。⑤非導電性接合固体の放電インピーダンス(Zd)の測定は放電時間波形を用いる放電解析法が適する。⑥放電スペクトルの解析結果より、p≧2.0 atmは高周波放電成分の振幅が抑制され、放電波形の連続性が確保されるためインピーダンス解析が可能となる。⑦Zdは200kHz以内の周波数帯域ではR-L直列回路で見積られ、電流波頭長における等価回路素子は正極放電でR≦500Ω,L≦450μH、負極放電でR≦450Ω,L≦280μHと推定される。⑧正負極放電波頭長までの等価回路素子値は、波頭長以降で時間経過に伴い最大1/50 程度まで減少する。⑨高気圧化以外の放電抑制法としてZdのインピーダンス補償によるサージ整形装置(SCD)を作成して調査した。接合コンクリートギャップにR//Cの並列回路を直列接続することにより、急峻な放電波形の緩和、振幅抑制及び1/4程度までの放電持続時間短縮等の良好な結果を得た。⑩雷保護装置(SPD)の避雷器は放電耐量が高いが動作電圧も高いため、閾値電圧未満における雷抑制手段としてSCDの協調使用が考えられる。特にSCDの技術化においては、避雷器動作特性の堅持を前提に波形整形条件の拡大が課題となる。
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