本研究は,電圧無効電力(以下,VQC)に対し,分散並列化技術を用いたメタヒューリスティク最適化手法(以下,MH手法)により,高速かつ通信遅延や故障に強くVQCを継続できるディペンダブルな方式を研究することを目的としており,平成29年度の成果を以下に示す。 (1)VQCの分散並列処理に最適なメタヒューリスティク最適化手法の開発 平成28年度に開発したDifferential Evolutionary Particle Swarm Optimization(以下,DEEPSO)を用いた並列分散型VQC方式に対し改良を行うために,予定通り複数集団型のDEEPSOを新たに開発し,これをVQCに適用した改良を行い,これにより解の質が改良できることを確認した。また,新たに開発した複数集団型DEEPSOを用いたディペンダブルなVQC方式を開発し,プロセスに故障が発生した場合,10%までの改悪を許容した場合,昨年度までの並列・分散処理ではまったく解の質を保てないが,新規に開発した複数集団型DEEPSOを適用した場合,故障率80%まで解の質を保ち制御が継続可能であることを確認した。 (2)産業界との意見交換・研究協力者への開発支援要請 富士電機)松井部長とは,本研究に対する意見交換を2回実施し,意見・コメントに基づいた改良手法へのフィードバックを実施した。この意見交換の中では,社会インフラである電力分野だけでなく,高速な並列・分散処理を必要とするクラウドシステムなどの顧客サービスでも重要であるという議論となり,別テーマとしてビル・工場のエネルギーマネジメントシステムに関するディペンダビリティ性共同研究を継続実施して頂いた。 (3)成果の発表 本研究の成果をエネルギーマネジメントシステムへの応用も含め,論文誌3件,国際学会2件,国内学会3件発表を行った。
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