研究課題/領域番号 |
15K05958
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
藤田 洋司 金沢工業大学, 工学部, 教授 (40720222)
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研究分担者 |
小山 正人 金沢工業大学, 工学部, 教授 (30748744)
河野 昭彦 金沢工業大学, 工学部, 講師 (40597689)
漆畑 広明 金沢工業大学, 工学部, 教授 (40723367)
花岡 良一 金沢工業大学, 工学部, 教授 (90148148)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 高電圧パルス / 電池 / リチウム |
研究実績の概要 |
(1)多孔質電極-イオン性キャリアを含む電解液系のモデルセルの考案 多孔質電極-イオン性キャリアを含む電解液系のモデルセルに高電圧を印加するためには、モデルセル自身のインピーダンスが大きいことが必要であることが判明した(実験系のセルを除く特性インピーダンスが約400オーム)。そのため、電極面積を極端に小さくした(2mmφ)高インピーダンスセルを開発し、実験に供した。 (2)高電圧パルスに対する応答解析 (1)で開発した、高インピーダンスセル(電極間距離40μm)に対し、パルス幅400μS 、波高値1-2kVの高電圧パルスを印加した。本研究で適応可能な最高電圧のパルスに対応するものであるが、電極間で火花放電は見られなかった。この現象を解釈するため高インピーダンスセルおよび実験系の等価回路を検討・作成した。この等価回路を用いて高電圧パルス入力時の電流、電圧の時間変化を回路シュミレータにより導出した。その結果、パルス電圧印加時に流れる電流は電極表面に形成される電気二重層の充電電流に相当するものであることがわかった。さらに、パルス入力前後で高インピーダンスセルのインピーダンスの周波数依存が高周波側で変化する現象が見出された。特に、インピーダンスのナイキストプロットにおける高周波側の小さな円弧がパルス電圧印加後小さくなった。これまでの研究によると、この高周波側の小さな円弧は、セルの負極表面のSEI皮膜に由来と説明されている。この結果、多孔質電極-イオン性キャリアを含む電解液系では高電圧パルスが侵入しても、短時間では、電解液内の電位分布は小さいが、電極内の電位分布が大きくなり、それが電極構造の変化を招く可能性が示唆された。特にリチウムイオン電池では、電極表面の皮膜の成長が電池の劣化要因の一つといわれている。今回の結果は、電極表面に成長しる皮膜の破壊を示唆するものである。
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