研究課題/領域番号 |
15K05960
|
研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
長谷川 勝 中部大学, 工学部, 教授 (70340198)
|
研究分担者 |
松本 純 中部大学, 工学部, 助教 (50736072)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | IPMSM / 位置センサレス制御 / センサレスサーボ / 適応制御 / DyCE |
研究実績の概要 |
本研究の初年度においては,位置センサレスサーボ系における2つの基本要素を高性能化することに注力した。1つは(1)位置推定性能の高性能化であり,もう一つは(2)位置決め性能の高性能化である。 (1)においては,先行研究で確立したくし形フィルタを用いた位置推定手法を改善し,駆動用インバータにおけるデッドタイム,スイッチングデバイスにおける電圧低下の影響を受けにくい条件を見出した。また,過渡時における位置推定性能を維持するため,その元情報となる電流の高周波成分を高速に弁別する方法を確立した。以上の事項は全て実験により進めており,実験結果により所期の性能を達成していることを付記する。 (2)においては,DyCE原理に基づく制御入力信号を合成する手法を再検討し,コントローラパラメータの同定安定性を改善した。DyCE原理の特徴である入力合成時に用いる任意多項式の次数と構造を検討した。本来は3次の多項式により受動性を満足することが理想的ではあるが,受動定理における±1次のロバスト性を利用して計算量が少なくなる2次の多項式で所期の性能を達成できることを明らかにした。さらに,その2次多項式を使用した際における制御入力の近似合成,あるいは近似を必要としない制御入力の合成法を確立した。以上の成果により,躍度最小軌道に対して位置センサレスでありながら 10ms 以下の位置軌道制御を実現した。これについても,性能評価は全て実機実験による進めており,その実現可能性を含めて評価していることを付記する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の通り,当初計画した (1) 位置推定性能の高性能化,(2)位置制御性能の高性能化 に予定通り取り組んでおり,計画通りの性能が実現できている。これにより,2年目に計画している位置センサレスサーボ系全体の最適化に臨むための下地が整ったと言える。
|
今後の研究の推進方策 |
上記の通り,1年目としては計画通りに進んでいる。したがって,2年目となる今年度は研究計画に沿って進めることになる。すなわち,2つの要素技術を統合し,その制御系設計の最適化を図るとともに,位置センサレス制御であるからこそ実現可能な技術を見出す予定である。 エンコーダを用いた位置決め制御系においては停止直前にエンコーダパルスが得られなくなることから,その微分である速度に関する情報が得られなくなる。一方,位置センサレス制御時は速度域に関わらず高精度な位置情報が得られるため,その微分である速度も精度良く得られる。この速度情報の質の違いを利用した位置センサレス制御なればこその位置センサレスサーボ系を構築する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
駆動用電源を購入したが,予定より低価格で購入できたため。
|
次年度使用額の使用計画 |
制御時に発生するノイズの対策のため,ノイズカットトランスの購入に充てる。
|