研究課題/領域番号 |
15K05961
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
馬場 吉弘 同志社大学, 理工学部, 教授 (70319466)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 雷 / 電気エネルギー / 耐雷 / 電磁界計算 |
研究実績の概要 |
2030年までに太陽光発電を5300万kW導入することが日本の国家目標となっており、今後、多数のビルの屋上に太陽光発電設備が設置されていくものと予想される。設備が高い位置にあればあるほど雷を受けやすいため、ビル屋上に設置される太陽光発電設備は雷被害をより受けやすい。しかも、太陽光発電設備の動作電圧は低く、過電圧に対して脆弱である。本研究では、本応募者がこれまでに培ってきた電磁界解析技術、大気電気学分野の雷に関する知識、電力工学分野の設備絶縁に関する知識、環境電磁工学分野の電磁遮へい等に関する知識を活用して、種々のモデルを開発し、それらを用いて雷撃を受けたビル屋上の太陽光発電設備に生じる過電圧について検討を行い、得られた結果に基づき太陽光発電設備の耐雷対策技術を構築することを目的としている。 平成28年度には、ビル屋上に設置されている太陽光発電設備が雷撃を直接あるいは間接的に受けた場合の解析と、この解析を時間領域有限差分(FDTD)法を用いて行うために必要な下記のモデル開発と検討を行った。 (1) 太陽光発電設備等の過電圧保護に用いられる酸化亜鉛(ZnO)バリスタおよび避雷器モデルの開発、(2) 炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の電磁界・サージ解析モデルの開発、(3) 大地に対して水平ではない非均質リード線の雷サージおよび高周波特性の評価、(4) 埋設ケーブル導体の誘導雷サージ解析モデルの開発、(5) 電気機器内の部分放電検出および電流値推定法の開発、(6) 雷電磁界パルス伝搬に与える地上構造物の影響評価。 以上の研究成果は、米国電気電子学会(IEEE)、電気学会(IEEJ)等の10篇の雑誌論文として投稿され、2016年度内に掲載されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
必要十分な研究時間を確保でき、平成28年度に予定していた課題に取り組むことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度には、平成28年度までに開発したモデルの妥当性を徹底的に検証するとともに、それらを自作したFDTD法に基づく電磁界解析プログラムに組み込み、雷撃を受けたビル屋上の太陽光発電システムの解析を、想定される種々の条件化(太陽光発電設備への直撃、近傍の避雷針等への雷撃による誘導など)で実施し、太陽光発電設備に生じる過電圧の発生メカニズムを明らかにする。また、得られた結果を整理し、ビル屋上の太陽光発電システム等電気設備の耐雷対策を提案する。 この期間に得られることが予想される研究成果は、国内外の学会で口頭発表を行うとともに、米国電気電子学会(IEEE)の雑誌論文として投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
4月に開催された国際会議の参加費支払いを,2月末までに行う予定であったが,4月初旬に行ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
成果発表のため参加する2017年度に行われる国際会議への参加費等として使用予定である。
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