研究課題
本研究ではパルスパワーによるカーボンナノチューブ(CNT)表面改質技術を基盤技術として負帯電したカルボキシルレートイオンを導入したナノカーボンを創製するとともにCNT 表面改質技術をさらに深化させて正帯電した親水性官能基(アミノ基)の導入法を開発し、固体高分子型燃料電池(PEFC)の電極材料として利用することにより出力特性の向上法を検討する。さらに燃料電池の等価回路モデルを構築して実験と理論の両面より動作現象の物理的解明を行い、本研究の有用性を検討することを目的としている。本年度は、CNT以外のナノカーボン材料として形状が球形でサイズが異なるカーボンブラックとケッチェンブラックを新たに用いて酸素雰囲気中でのバリア放電を利用してオゾンを生成し、表面改質を行った(オゾン暴露法)。また、アミノ基導入を目的として窒素とアルゴンの混合ガス中でのバリア放電を利用してCNTの表面改質を行った(気層プラズマ暴露法)。さらに表面改質したナノカーボンをPEFCの電極材料として利用した。PEFC 出力特性における表面改質の効果を検討するために燃料電池電極として両電極、酸素極、水素極に表面改質ナノカーボンを用いた電極および比較のために未表面改質ナノカーボンを用いた電極の合計4種類をそれぞれ作製し、PEFCの出力特性を調査した。その結果、オゾン暴露法では両電極に表面改質したケッチェンブラックを用いることでPEFCの出力電力をCNTの約3倍、カーボンブラックの約1.5倍に向上できることがわかった。一方、気層プラズマ暴露法では表面改質することで出力電力は低下した。以上の結果より、PEFCの出力向上法としてオゾン暴露法によるケッチェンブラックを両電極に用いることが効果的であることがわかった。
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Abstract of 15th International Union of Materials Research Societies The 15th Int. Conference on Advanced Materials (IUMRS-ICAM 2017), 1page, A7-P30-017
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