研究実績の概要 |
火花チャネルに用いられる火花抵抗則については,これまで様々な実験式が提案されている.これに対し,本研究ではいずれの火花抵抗則がより現実に即したものかを検証してきた.昨年度までは,実験装置の構築と測定限界の検証ならびに試験的に1つの火花抵抗則をターゲットとした式の検証をおこなった.平成29年度はさらに一般的によく用いられる式を追加し,2つの実験式を対象に,比較対照をおこなった.用いた2つの実験式はそれぞれ,Rompe-Weizelの式とToeplerの式である.測定では,500Vと4000Vの電圧を用い,得られた電流波形と測定された火花長(火花チャネルの長さとする)から火花電圧の時間変化を導出するなどの解析をおこなった.この結果,500Vの低電圧ではRompe-Weizelの式の方がToeplerの式よりも測定結果によく合うこと,一方,5000Vの高電圧ではToeplerの式の方がRompe-Weizelの式よりもよく合うことなどが確認できた.これらの結果は,2018年10月28日から31日に中国の北京で行われた国際会議(EMC'Beijing, 2017)で発表した際,その成果が認められ,最優秀発表賞を受賞した.また,これまでの一連の成果は,電気学会論文誌A,Vol.137, No.10,pp.598-599,電気学会論文誌A,Vol.138, No.1,pp.42-43,電気学会論文誌A,Vol.138, No.6に掲載または掲載決定されている.なお,上記の成果については,FDTD法を使った電磁界解析などに応用できる可能性が期待される.上記成果以外にも,データを幅広い電圧で取得済みであるので,今後,データ解析,発表,論文投稿を計画している.
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