本研究は,効率的に小水力エネルギーを回収することを目的として考案の2連結・相逆回転水車発電機を開発することである.小水力やマイクロ水力では大型水力発電とは異なり水量および落差が小さい.そのため,小水量で低落差に対応した水車や発電機構造を検討する必要がある.そこで本研究では,二重回転子構造とした電機子と界磁が互いに逆回転させることで発電機の相対的な回転速度を増加できる発電機構造を検討した.試作機は市販されている発電機の電機子および界磁を自由回転できるように駆動軸を改造したものを製作した.実験では相逆回転をさせるため,電機子および界磁に取り付けた駆動用モータを相逆回転させた.無負荷誘導起電力と機械損の測定では,電機子と界磁の相対回転速度100~640[1/min]で実施した.負荷は三相交流および直流のいずれにも供給可能である.外部直流負荷試験では,電機子の出力端にダイオードフルブリッジ回路を通じて負荷を接続した.300,400,500,600[1/min]の相対回転速度に対して負荷抵抗を4種類変化させて実施した.また,同時に負荷電圧および電流波形も確認した.本試作機による効率は,相対回転速度600[1/min]のときに約40%となり,試作による効率としては妥当な値となった.実験装置では軸トルクが実測できないため,効率を算出する入力値に試作発電機を駆動するモータの損失を含んでいる.実測効率では駆動用モータ損失を差し引いたものが入力となるため,発電機本体の効率は40%よりも高い値となる.実験結果の検討から,本試作機は軸長が若干長いために機械損が大きくなっている.今後軸長を短縮すれば,機械損の低減が期待できる.また,前年度に続き回転子に界磁巻線と永久磁石界磁を同時に持つ場合も有限要素解析で特性を検討した.
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