国内において普及率が増加している家庭用電磁調理器に関して,前年度の実施した接触電流の測定結果を成果報告として論文投稿した。なお,結果として,鍋サイズが大きくなるに従って接触電流は大きくなった。また,その波形は,漏れ磁界と同様の周波数成分を持っているが,電力周波数を含んでいなかった。また,加熱周波数の基本周波成分よりも第2高調波成分が大きくなった。様々な設置タイプから合計24個の加熱ヒータにおいて接触電流を測定した結果,接触電流の大きさは最大で0.9mA程度であった。これは,IEEE安全規格と比較すると,加熱ヒータの83%(20個の加熱ヒータ)において制限値の33%未満に属していた。さらに,接触電流が最大の場合でも制限値の43%程度の大きさであり,本研究で調査した全ての加熱ヒータにおいて許容値を下回っていることを確認した。 また,接触電流の発生は,加熱コイルから発生する電界による静電誘導によるものであることから,本年度は電界による調理者への誘導電流の測定に挑んだ。アルミ箔を覆ったマネキンを電磁調理器の前に置き,肘を曲げて指先が電磁調理器上の金属鍋に近づくように配置した。なお,指先が金属鍋に接触した場合に,マネキンから接地線へ流れる電流は,先の接触電流と同じ大きさであることを確認した。指先が金属鍋から離れるに従い,誘導電流は小さくなることを確認した。指先が金属鍋近傍にあるときの誘導電流は,接触電流のおよそ1/10程度であった。
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