研究課題
ケーブル・イン・コンジット(CIC)導体を用いて製作した大型超伝導コイルでは、通電時において、CIC導体の特性からは全く予想できない、超長時定数(数十秒から数千秒の減衰時定数)を有するループ電流を発生することがある。『超長時定数を有するループ電流』は、導体に流れる輸送電流に重畳することにより、大型超伝導コイルの性能を著しく低下させる要因となり得る。また、最悪の場合、大型超伝導コイルを焼損させる要因となることも考えられる。そこで、本研究では、数値解析によって、『超時定数を有するループ電流』が大型超伝導コイルの安定性に、どうような影響を与えるのかを定量的に解明する。平成28年度は、①超大型超伝導コイルの自己磁場測定と、②CIC導体の突合せ接続部の構造分析を行った。上記①については、CIC導体を用いて巻き線したJT-60SA CSモジュールコイル(重量18 t、内径1.3 m、外径2.0 m、高さ1.6m、52層)に10kA程を通電し、コイル上に多数取り付けた極低温用ホール素子により、自己磁場を測定することができた。『時定数を有するループ電流』の発生原因の一つとして、コイルの導体接続部が考えられる。そこで、上記②では、JT-60SA CSモジュールコイルに採用した『CIC導体の突合せ接続部』の構造分析を、走査型電子顕微鏡を用いて行った。その結果、導体が適切に接続されていることを確認することができた。
2: おおむね順調に進展している
CIC導体を用いた超大型超伝導コイルを極低温まで冷却し通電を行い、コイルの様々な位置で磁場測定することができた。
超大型超伝導コイル(JT-60SA CSモジュールコイル)の自己磁場測定結果を解析する。
当初予定していた消耗品を購入する必要がなくなったため。
次年度に必要なる消耗品の購入に充てる予定。
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Cryogenics
巻: 81 ページ: 54-59
10.1016/j.cryogenics.2016.11.009