研究課題
ケーブル・イン・コンジット(CIC)導体を用いて製作した大型超伝導コイルでは、通電時において、CIC導体の特性からは全く予想できない、超長時定数(数十秒から数千秒の減衰時定数)を有するループ電流(遮蔽電流)を発生することがある。『超長時定数を有するループ電流』は、CIC導体に流れる輸送電流に重畳することにより、大型超伝導コイルの性能を著しく低下させる要因となり得る。また、最悪の場合、大型超伝導コイルを焼損させる要因となることも考えられる。そこで、本研究では、実験データを考慮した数値解析によって、『超時定数を有するループ電流』が大型超伝導コイルの安定性に、どうような影響を与えるのかを定量的に解明する。令和元年度は、①CIC導体の撚線部の安定性解析コードの開発、②CIC導体の撚線部の偏流を模擬した安定性解析、③大型超伝導コイルのクエンチ検出の特性評価を行った。上記①に関しては、CIC導体の撚線部を分布定数回路でモデル化した電気回路用解析コードに、熱伝導解析コードを組み込むことができた。その結果、複数本からなる超伝導撚線の安定性を定量的に評価できる解析コードを開発することができた。上記②に関しては、CIC導体の撚線部において、超長時定数を有するループ電流が原因で生じる不均一な電流分布を模擬した安定性解析を実施することができた。上記③に関しては、超長時定数を有するループ電流の発生を調査するために実施した通電試験の計測データから、大型超伝導コイルで生じた電圧信号を解析した。その結果、CIC導体を用いた多重積層型超伝導コイルのクエンチ検出の特性を明らかにすることができた。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
Plasma and Fusion Research
巻: 15 ページ: 2405028
10.1585/pfr.15.2405028