研究課題/領域番号 |
15K06010
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
齊藤 一幸 千葉大学, フロンティア医工学センター, 准教授 (80334168)
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研究分担者 |
伊藤 公一 千葉大学, フロンティア医工学センター, 客員教授 (90108225)
高橋 応明 千葉大学, フロンティア医工学センター, 准教授 (70267342)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 外科処置デバイス / 凝固 / 止血 / 切開 / マイクロ波 / 電気メス装置 |
研究実績の概要 |
近年の外科手術では,エネルギーデバイスと呼ばれる電気メスや超音波凝固切開装置などが広く用いられている.これらのデバイスは,単独で組織の切開と止血が可能であるので,現在の外科手術の現場ではなくてはならないものである.しかしながら,これらのデバイスには改善すべき問題点も存在する.例えば,電気メス装置では,術者が持つハンドピース先端部に高周波電流を集中させ放電を起こし組織を切開する.その際に,組織が非常な高温に達し炭化するため“煙”が生じ,特に,腹腔鏡手術時には視界を遮ることもある.また,超音波凝固切開装置では,デバイス先端が超音波振動するため,組織中の水分が“しぶき”として生じ,これも腹腔鏡手術時に視界悪化の原因となることがある.一方,これまでの研究により,マイクロ波エネルギーにより組織を加熱することにより,“煙”や“しぶき”なしに組織凝固(すなわち止血)が可能であることがわかっている.しかしながら,マイクロ波エネルギー単体では,組織の切開はできない.
そこで本研究では,止血用としてマイクロ波エネルギーと組織切開用として高周波電流を組み合わせた新しいエネルギーデバイスを開発することを目標とした.
昨年までの研究により,本研究では,従来の電気メスと類似の形状であるストレート型デバイスと,血管や管腔臓器などのシーリングが可能な鉗子型デバイスの2つを開発することにした.そこで本年度は,まず,ストレート型デバイスの構造を改良し,インピーダンス整合を改善するとともに,デバイス性能の評価を詳細に行った.また,鉗子型デバイスについては,組織凝固能力を向上させるべくマイクロ波アンテナの構造を改変し,また,高周波電流用の電極構造を改良することで,無用な放電を生じさせず,きれいな組織切開を実現することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度までに,2種類のデバイスについて,大まかな構造を確定することができ,また,それらの試作およびそれを用いた特性評価も行うことができた.これらの結果については,将来の臨床使用に向けて,有用なデータになり得ると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,開発したマイクロ波デバイスの特性評価について,検討を継続したいと考えている.特に,これまであまり行われてこなかったマイクロ波を生体組織に作用させた際の組織変性に関して詳細に検討を行いたい.こういった検証の結果は,将来の臨床使用時には必要不可欠なデータになると考えられる.
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