研究課題/領域番号 |
15K06011
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
大矢 剛嗣 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30432066)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 単電子回路 / 生体機能模倣 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は「生物の挙動に学ぶ新規単電子情報処理システムを開拓すること」である。単電子デバイスは次世代情報処理デバイス・Beyond CMOSデバイスの一つであり,電子を1個単位で扱うナノデバイスとして注目されている。近年,単電子デバイスの持つユニークな現象を利用した「単電子デバイスだからこその情報処理システム」が注目されつつある。本研究では,単電子デバイス向けの新規情報処理手法として,生物の挙動に学ぶ情報処理システムの適用を提案する。さらには,提案のシステムを実行可能な単電子回路を設計し,コンピュータシミュレーションによりその動作の確認を行う。最終的には,単電子デバイス向け新規アーキテクチャを確立する。 平成27年度において,情報処理の手本とする生物の挙動を元に(1)細胞性粘菌様 単電子情報処理回路の設計,(2)ミツバチの集団採蜜行動様 単電子情報処理回路の設計および(3)軍隊ガニ挙動様 単電子情報処理回路の設計を同時並行で進め,それぞれの基礎を築くことをめざした。いずれの回路もフルアナログの単電子回路をめざし,単位素子を二次元状にした構造を基盤としている。それぞれの計画について当初の予定通り,回路設計およびシミュレーションによる動作確認を進めることができた。(2)の計画は多少計画が滞ることもあったが,段階を踏んで一つずつ課題を解決することでほぼ予定通りに計画を進められている。どの内容についてもそれぞれ国際会議・国内学会等への研究発表を行い,評価を得ている。本研究課題で掲げる「生体様情報処理システム」理論の確立に向け着実に進んでいると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的である「生物の挙動に学ぶ新規単電子情報処理システムを開拓」を実現するために,3種類の生物の挙動に着目し,その単電子回路化を進めている。 これについて,上述の研究実績の概要に示す通り,本年度はほぼ当初計画の通りに研究を遂行し,得られた成果や関連研究についてはそれぞれ,国際会議発表や国内学会発表,論文投稿(現在査読中)を実施することができた。 また,これらの成果は平成28年度以降の研究の十分な足掛かりとなり得るため,概ね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
上述の通り,平成27年度において3種類の生物の挙動をヒントに新しい単電子情報処理システムの設計・シミュレーションによる動作実証を進めることができた。 今後は,これを足掛かりに比較的大規模なシステムをプロトタイプとして設計し,シミュレーションにより検証する。プロトタイプシステムの動作実証のために,実際の応用を想定してすでにモデルとして示されているような情報処理をこの提案システムに実行させる。最終的には、これらのシミュレーション・デモンストレーションを通して重要要素を抽出し,システムの構築理論の一般化を進め,汎用のアーキテクチャとして完成させる。
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