研究課題
本研究の目的は「生物の挙動に学ぶ新規単電子情報処理システムを開拓すること」である。単電子デバイスは次世代情報処理デバイス・Beyond CMOSデバイスの一つであり、電子を1個単位で扱うナノデバイスとして注目されている。近年、単電子デバイスの持つユニークな現象を積極的に利用する「単電子デバイスだからこその情報処理システム」の研究が活発になりつつある。本研究では、単電子デバイス向けの新規情報処理手法として、生物の挙動に学ぶ情報処理システムの適用を提案する。さらには、提案のシステムを実行可能な単電子回路を設計し、コンピュータシミュレーションによりその動作の確認を行う。最終的には、単電子デバイス向け新規アーキテクチャを確立する。平成28年度において、平成27年度の研究で得られた知見に加えて(知見を活用しつつ)、新たに(1)ミツバチの集団採蜜行動様 単電子情報処理回路の設計・改良、(2)コウモリのエコーロケーション行動様 単電子情報処理回路の設計、(3)心筋細胞の挙動様 単電子信号同期回路の設計、(4)細胞性粘菌様 単電子情報処理回路の設計・改良、(5)ニューラルネットワーク様 単電子情報処理回路の設計・改良を同時並行で進め、平成27年度に一部確立した基礎をさらに固めることを目指した。それぞれの計画について概ね当初の予定通り進めることができた(一部は、当初計画になかった内容も追加的に実施ができた)。どの内容においてもそれぞれ、論文・国際会議・国内学会等への研究発表を行い、評価を得た。
2: おおむね順調に進展している
本研究の目的である「生物の挙動に学ぶ新規単電子情報処理システムを開拓」を実現するために、各種生物の挙動に着目し、その単電子回路化を進めている。これについて、上述の研究実績の概要に示す通り、本年度も昨年度に引き続きほぼ当初計画の通りに研究を遂行できたのに加えて、得られた成果や関連研究についてはそれぞれ、論文発表、国際会議・国内学会発表を実施することができた。また、これらの成果は、次年度の足掛かりに十分なり得るため、順調に進展していると評価する。
上述の通り、昨年度に引き続き各種生物の挙動をヒントに新しい単電子情報処理システムの設計・シミュレーションによる動作を進めることができた。最終年度においては、外部研究協力者の協力も得ながら提案回路の具現化を意識した最終回路の設計・動作実証、これまでの研究で蓄えた知見をベースに複数の生物挙動様 情報処理を組み合わせた新しい(汎用的)情報処理アーキテクチャの完成を目指す。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 4件) 備考 (1件)
Japanese Journal of Applied Physics
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
International Journal of Parallel, Emergent and Distributed Systems
巻: - ページ: 12 pages
10.1080/17445760.2016.1165219
巻: 55 ページ: 06GG10(8 pages)
10.7567/JJAP.55.06GG10
http://arrow.ynu.ac.jp/publication.html