本研究は高次モード光を、簡単に合分波できる、集積可能な導波路型合分波器の実現を目的としている。今年度は研究目的を達成するため、傾斜接続MMI導波路型合分波器のモード間クロストークの改善、10モード以上一括分波可能なローランド円型合分波器の原理実証、導波路曲線部分のモード間クロストークの抑制について検討した。(1)傾斜接続MMI導波路型分波器の傾斜接続の角度、アクセス導波路幅などのパラメータが、モード間クロストークに与える影響をシミュレーションにより解析結果に基づいて設計を行ったが、モードの自己結像位置差がモード分離に十分ではないことと、高次モードの合分波素子の製造トレランスが極めて厳しく、現実的な素子実現は困難であることが判った。(2) 強結合マルチコア導波路において高次モードの波面が異なることと、ローランド円において異なる波面の集光位置が異なる特性を利用して、新たに10モード以上一括分波可能なローランド円型合分波器を提案し、その原理実証を行った。その結果、モード間クロストーク特性はまだ不十分だが、基本原理として使える目処は付いた。また、モード間クロストークは、入力側の強結合導波路の本数、入・出力導波路間の間隔、ローランド円の入力側の半径等のバラメータの調整によって改善できることを確認した。(3)合分波器の設計において、導波路の曲線部分では高次モードの励起現象によってモード間クロストークが懸念される。そのため、スリット構造を用いる強結合導波路のモード間クロストークの抑制効果について検討し、導波路中心にスリット構造を入れることで、モード間クロストーク抑制可能でいうことを確認した。
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