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2015 年度 実施状況報告書

光硬化樹脂の応用による光配線を実現するための接続技術と光デバイスの研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K06034
研究機関東海大学

研究代表者

藤川 知栄美  東海大学, 工学部, 准教授 (70319375)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード光硬化性樹脂 / V溝 / 自己形成光導波路 / 光配線
研究実績の概要

【はじめに】光配線の実現に必要な光固有の実装技術として端末モジュールとファイバ接続の課題がある.本研究では,光硬化樹脂を用いた自己形成光導波路による光接続技術の確立をはかり,これらの技術によって,アライメントフリーで高効率な光実装技術の普及に貢献することを目的としている.
【光配線板一体型V溝の作製】V溝は,複数の光ファイバを同一方向・等間隔に高精度に配列するためのデバイスである.一般にV溝にはシリコン基板が用いられ,近年は,ガラス基板をモールドによって形成したものや,高分子材料をフォトリソグラフィとウェットエッチングあるいはドライエッチングにより加工したものが報告されているが,いずれもプロセスが複雑であるため,高価であることが課題である.そこで,我々が提唱している「マスク転写式自己形成法」を用いて,作製プロセスを極端に簡易化したV溝基板作製法を提案した.シリコンフォトニクスの光モジュールでは基板上に垂直光接続導波路を作製し,その周囲をクラッドで覆う必要がある.光硬化性樹脂を用いることにより,V溝作製と同時にクラッド部の作製が可能であり,さらに,光配線との結合がアライメントフリーで実現できる.周期的に矩形開口部を設けたフォトマスクに対し,ある角度で交差するように2方向から紫外光照射を行うことによりV溝を作製した.作製されるV溝傾斜面の角度は,フォトマスク上に設置するプリズムの頂角および紫外光の波長,光硬化性樹脂およびフォトマスク基板の屈折率等を用いて制御可能であり,ピッチ250μm,高さ240μmの,光配線一体型V溝へ適用するために必要な高さを有するV溝を作製した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初,作製されたV溝の内部には上面と下面の内部に,試料によって異なる形状の構造が確認されていたが,光源およびプリズムの位置合わせ,光硬化性樹脂の種類を検討し,その構造は確認されていない.交付申請書において,量産化に対して期待できると記載したが,量産化に関する具体的な検討まで至らなかった.現状,V溝を構成する傾斜面の角度において理論値と実測値の差異が大きく,さらなる検討が必要である.これまで,デジタルマイクロスコープによる形状評価のみを行っていたが,電子顕微鏡による計測環境を整えたこと,および紫外線光源の照射光学系を制御することでさらなる形状制御が期待される.

今後の研究の推進方策

提案するフォトマスク転写法では,フォトマスクを通過した紫外光が500μm程度の距離を光が伝搬しながら樹脂の屈折率を変化させコア部分を形成する.とくに,使用する紫外光および光硬化性樹脂において,フォトマスク通過後の紫外光の回折による影響と,紫外光が屈折率を変化させながら樹脂中を伝搬することと,実際に作製されるデバイス形状にはどちらがより影響を及ぼすか,評価・検討を行う.すでに確立されているシミュレーション手法を用いるが,実験とシミュレーションを同時並行で進めることにより,リアルタイムで,どの作製パラメータが実際に形成されるデバイスの形状に大きく影響を及ぼすのか,の知見を得る予定である.

次年度使用額が生じた理由

平成27年度中に,光デバイス作製実験装置の試料固定部を設計し発注する予定であったが,設計途中に予想外の課題を多く発見し,装置全体として新規に設計することが必要と判断したため,物品費について次年度使用額が生じた.

次年度使用額の使用計画

光デバイス作製実験装置において,作製試料の保持部に温度調節機能を付加するための物品購入に使用する予定である.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016 2015

すべて 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)

  • [学会発表] Self-Written Waveguide (SWW) Optical Pin for High Optical Coupling in Multi-layer Printed Wiring Board2016

    • 著者名/発表者名
      Nurul Atiqah Baharudin, Sumiaty Ambran, Osamu Mikami, Chiemi Fujikawa
    • 学会等名
      The 2016 IEEE 6th International Conference on Photonics
    • 発表場所
      Hilton Hotel, Sarawak, MALAYSIA
    • 年月日
      2016-03-14 – 2016-03-16
    • 国際学会
  • [学会発表] Optical Coupling for Multi-layered Optical Printed Wiring Board Using Micro Lens Array2016

    • 著者名/発表者名
      Yuzafirah Yaacob, Nurul Atiqah Baharudin, Osamu Mikami, Sumiaty Ambran, Chiemi Fujikawa
    • 学会等名
      The 2016 IEEE 6th International Conference on Photonics
    • 発表場所
      Hilton Hotel, Sarawak, MALAYSIA
    • 年月日
      2016-03-14 – 2016-03-16
    • 国際学会
  • [学会発表] 光通信用機能性光学素子の研究・開発2015

    • 著者名/発表者名
      藤川知栄美
    • 学会等名
      フォトニクス研究会 第2回研究会
    • 発表場所
      東海大学,平塚市
    • 年月日
      2015-11-26
  • [学会発表] Optical Coupling For Multi-layer Printed Wiring Board By Self-Written Waveguide2015

    • 著者名/発表者名
      Nurul Atiqah Baharudin, Sumiaty Ambran, Osamu Mikami, Chiemi Fujikawa
    • 学会等名
      Malaysia-Japan Joint International Conference 2015
    • 発表場所
      山口大学,宇部市
    • 年月日
      2015-11-13 – 2015-11-15

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公開日: 2017-01-06  

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