研究実績の概要 |
本研究は,マイクロ波,ミリ波及びサブミリ波領域において,金属フォトニック結晶構造を用いた高性能な超小型電磁波回路の開発を通して周波数の利用効率を上げ,将来の光とのシームレスな無線通信用の電磁波回路を実現することである.先ず,金属フォトニック結晶構造による電磁波の強い閉じ込め機能と超広帯域バンドギャップを確認するために,金属円柱正方格子及び三角格子フォトニック結晶のバンドギャップを金属の導電率を考慮したドルーデモデルでも計算し,完全導体モデルと数テラヘルツ(THz)まではほとんど影響がないことを確認した.次に正方格子・三角格子構造の点欠陥共振器の低次共振モードを比較し,三角格子点欠陥共振器のQ値はあまり高くないことを確認した.これは光領域での誘電体構造フォトニック結晶の3角格子点欠陥共振器で指摘されている他研究者の報告とも一致している.従って,本研究では,正方格子フォトニック結晶構造を中心に点欠陥共振器のQ値の計算と実際に回路を作製し,測定値と計算値の比較することにより,数値解析の計算精度の有効性を確認した.これを踏まえて正方格子線欠陥導波路内に複数個の金属誘導性ポストを挿入したバンドパスフィルタの合理的な設計法を確立し,実際に作製・測定するとともに,電子情報通信学会( Vol.J101-C, No.1, pp. 43-48, Jan. 20182018),ヨーロッパマイクロ波国際会議(EuMW2017,pp. 904-907, EuMC43-1)において発表した.
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