研究課題/領域番号 |
15K06041
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研究機関 | 愛知工業大学 |
研究代表者 |
五島 敬史郎 愛知工業大学, 工学部, 准教授 (00550146)
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研究分担者 |
天野 建 国立研究開発法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (10392581)
津田 紀生 愛知工業大学, 工学部, 教授 (20278229)
森 竜雄 愛知工業大学, 工学部, 教授 (40230073)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 半導体光物性 / マイクロ・ナノデバイス / 量子エレクトロニクス / 半導体量子ドット |
研究実績の概要 |
量子ドットレーザは理想的なバンド構造を持つのにもかかわらず既存の量子井戸型レーザよりも性能は劣る。そこで本研究は量子ドットレーザの性能を向上させるため量子ドットの成長方法の改善ではなくバンド構造に着目し改善を図る。(1)量子ドットの発行メカニズムに量子力学的効果を積極的に利用する構造を適用する。(2)積層成長方法において歪を低減する構造を適用ずる。光増幅率の向上、後続変調、そして温度依存の少ない理想的な量子ドットレーザの実現を目指す。具体的に以下の3項目を明らかにする。「1」量子力学的結合効果を生み出すシュミレーション、「2」積層量子ドットの成長、 「3」量子力学的効果の評価及び光増幅率の測定そしてレーザデバイスへの展開である。 上記目的のために本年度は以下の取り組みを行った。 1・光増幅率及び半導体歪効果を観測する装置の立ち上げをおこなった。またその精度を向上するための調整をおこなった。歪によるHHとLHのエネルギー差を0.01eVの精度が可能になり、歪によるわずかなエネルギー差を見分けることに成功した。今後はその精度を生かして積層量子ドットの積層数と歪の関係について詳しく調べていくことが可能である。 2.高密度量子ドットと低密度量子ドットサンプルを作成し、光増幅率の測定を行った。この結果より、サンプルの改善すべき点を明らかにすることができた。光増幅率を調べたところ低密度量子ドットの1個当たりの光学利得と高密度量子ドットのそれと比較した場合低密度量子ドットの光利得が高密度より約100倍程度優れていることが分かった。このことから高密度量子ドットの配置を最適化することにより現在の100倍程度の光増幅率が達成されることを示唆した結果となった。この効果も含めて近接・積層量子ドットの効果について調べる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1. 歪を計測する観測する装置の立ち上げ及び測定データの信頼性は向上させることができた。これについてはおおむね順調に進んでいる。 2. サンプルせいさくについて、昨年度は量子ドットの密度の違うサンプルを観測することができた。この結果から密度向上と光増幅率の関係を明らかにすることができた。しかし、シュミレーション結果に基づくサンプル作成はまだできていない。これは、サンプル作成装置の不具合及び修理・調整のため 当初計画より少し遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
来年度が申請の最終年である。 これまで測定装置及び低密度・高密度のサンプルについては実験が進んでいるが、申請者が提案しているサンプル構造の製作は行っていない。これらについても早急に観測し、理論と実験が申請者の予想通り、光増幅率を向上させていくのかを検証していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費にかかわる経費を見直した結果、当初の予定より価格を低く抑えることができたので金額に差が生じた。また、備品の購入についても共同研究先の研究機関より装置利用について柔軟な対応を取っていただいた関係で、当初の購入備品以外の備品に振り分けるとこができた。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度の使用予定額は変更しない。昨年度の差額の金額と今年度の当初の予算を合算した使用計画書を立てる。
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